ぬらりひょんの孫長編U
□#8 待ち望んだこの時
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ギュウ・・と拳を固める佳澄。
「楽になんか死なせるか。
さんざん弄って殺してやる」
先ほどから、前に立っているだけでピリピリと痛い殺気が飛ばされている。
―――コイツは・・ヤバイ!
ゆらの中の本能は、そう叫び続けている。
秀「ゆらちゃん、しっかりな。
弱気になっとったらやられるで。相手はあの羽衣狐の娘や」
ゆ「っ・・分かってる!私はこんなところで負けるわけにはいかん!
貪狼!!」
式神・貪狼を召喚。
グルルル・・・と唸る貪狼。だが佳澄は恐れることなく、ククク・・と笑った。
「そんなショボイ式神で、アタシは倒せないよ、お嬢ちゃん」
ゆ「やってみなわからんやろ!行けぇ貪狼!!」
ガァウ!!と駆け出す。
佳澄はしかし、一歩も動いてはいなかった。
バシィンッ!!!!
ゆ「!!」
秀「・・・!」
佳澄の黒狐の尾は、一瞬で貪狼を叩き潰してしまった。
真っ二つに裂けた紙が、白煙の中にヒラヒラと舞っていた。
「やってみて・・無駄って事、理解した?」
ゆ「う・・嘘やろ・・・?貪狼を・・たった・・・一撃で・・・!」
佳澄の尾はシュルシュルとしなやかに動いている。
「格が違うんだ。
陰陽師だろーがなんだろーが、お前のような浅い人間の小娘がアタシに勝てるわけないだろ?」
花開院の陰陽師・ゆらに対して、佳澄は、見せる表情も、かける言葉も、全てが殺意、憎悪といったもので満ちていた。
「あれ、コイツは生き胆として捧げるんだっけ?
・・ま、どっちにしろ死ぬか」
もはや、目の前の破壊すべき標的、ゆらしか捕らえていない瞳。
ゆらは、残りの式神と破軍、どちらを使うかを必死に思案していた。
ゆ「(おそらくあの女の言ってる事は事実・・ただの式神じゃ勝てへん・・。せやけど・・
破軍なんて一匹に使ったとしても、そないにバンバン使えるもんやないのに!)」
そういってる間にも佳澄はどんどん距離を縮めていく。
秀「ゆらちゃん!」
ゆ「!しもた!!」
「死ねェ陰陽師ィ!!」
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