ぬらりひょんの孫長編U
□#5 ずっと想ってきた。
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羽衣狐に寝ていろと言われた佳澄は、用意された部屋で読書をしていた。
と、誰かが入ってきた。
『誰?』
無言で入ってきた無礼な・・・顔面半分板のやつ。
茨「羽衣狐は寝ろっつってただろうが」
『そんないつでもどこでもグースカ寝れるわけないでしょ。ナメんなよ』
茨「ナメてねぇよ。また途中でぐったりされちゃ迷惑だって言ってんだよ」
『ひっど。どうせそんな事言ってても助けてくれるくせにさー』
茨「お前の母親がうるせえからな」
『むー・・。で、なんの用』
茨「お前がちゃんと休んでるか見て来いって言われたんだよ。たく世話の焼ける」
『なら断ればよかったじゃん・・。もう寝るから早く生き胆集め行けば?』
すこしそっけなく応える。
茨「・・なにスネてんだ?」
『スネてない。さっさと行ってよ。邪魔』
茨「・・・」
グイッ!
茨木童子は佳澄の顔を無理やり自分の方へ向かせた。
『っ!!?・・・何・・・?!』
茨「テメェ、ずっとお前の傍にいてやった俺に向かって邪魔だァ?ふざけんじゃねぇぞ。
命令だからってお前の世話、500年以上もしてやるわけねえだろうが。
お前は知らねぇだろうがな・・
お前が村のガキどもと遊んでた頃、侘助とか言う奴がお前の事を好きとか言ってんの聞いて叩き潰してやった。
その次にお前を嫁にするとか抜かしてた京史郎ってガキは「半径30メートル領域に足踏み入れたら殺す」と
さんざん脅して最後に叩き潰してやった。
お前が15になったとき高志とかいうクソ野朗がやたらお前にデレデレしてやがった
から瓦を顔面にぶつけてやった。
18のとき宏樹とかゆうカスがお前にべったりくっ付いた挙句手を握ろうとしやがったからアサルトライフルで手首を射撃してやった。」
『・・は・・?はぁ?!』
茨「俺はお前に害虫がよるたびに何かしら策をうって払ってきてやったんだよ」
『いや何の為に?!ってかアサルトライフルあったのかその時代!?』
茨「何のために、だァ?決まってンだろうが。俺が、お前に惚れてるからだよ」
『・・・・・ふぇ?』
あ、変な声出しちゃった。
ってか今この板野郎なに言った?!
コイツが・・・アタシに・・・惚れてる?!
茨「俺がお前を守んのも、世話焼いてやんのもすべて・・お前が好きだからなんだよ」
『・・う・・・そォ・・・・』
茨「嘘なワケねぇだろーが。・・・俺の想いを知ったからには、もう容赦しねぇからな。
ぜってぇお前を、俺しか見られなくしてやる」
『童子・・・///』
茨「覚悟してろ」
佳澄は、頬の茨木童子の手を、自分の手でそっと離した。
『・・・・・しなくていい』
茨「あ?」
『そんなこと・・・しなくていいよ・・・
・・・・・・・・・卒塔婆』
茨「誰が卒塔婆だ。」
『アタシね。童子についてく方が面白い、とか言って・・本当はどっかで童子の事好きなのかもって・・考えてた。
封印される前も今も、絶対傍にはアンタがいて・・。守ってくれてさ・・。
だから・・・童子だけを見ろって言うなら、アタシは、童子しか見ない。
童子しか愛さないから・・・だから・・・』
アタシの傍にいて。
そう、小さく呟き、佳澄は茨木童子に抱きついて、腕をまわした。
茨「佳澄・・・」
茨木もそれに応えるように、強く抱きしめた。
(なあ佳澄)
(なに?)
(お前、見た目より胸あんだな)
(・・・・・・変態)