ぬらりひょんの孫長編U
□#8 待ち望んだこの時
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突然、地響きが聞こえた。
「この感じ・・!」
佳澄には、この地響きが何であるか、すぐに分かった。
―――良かった・・。
安堵の笑みを浮かべる。
今、この瞬間だけは、陰陽師殺しなどどうでも良くなった。
なぜなら・・
京妖怪の誰もが望む、“鵺”の誕生をこの目に出来るのだから。
「童子!」
茨「あァ。」
首「・・何だ・・この地響きは・・!」
茨木童子と交戦していた首無は目を見開いている。
鬼「長かった・・」
鬼童丸は身体を起こしてポツリと呟いた。
鬼「時間は多く過ぎ去った・・。
今の“時”、千年の長さに比べれば、ほんの僅かなれど・・
この“時”を守れて、本望だ」
ドォッ!!!
大きな音とともに、地響きの正体が現れた。
メキメキと床を突き破り、巨大な物体が、リクオの前を通った。
リ「…!」
女の、ニヤリと微笑む顔が微かに見えた。
そして、“ソレ”は京都中を見渡せるほどの高さまでのぼり留まった。
今、この瞬間だけは、どの妖怪も天を仰いでいた。
羽「感じるぞ・・・晴明ェ・・」
続く