最小公倍数
□一話
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幼いときから何か変な物が視えていた。
小さい子供だったら他の人にも見えて当然だと思っていた。
けれど、違った。
「うそつきっ!」
「浅葱くんのうそつきっ!」
違うよ、
嘘じゃないよ
そう言ったけれど、だれも信じてくれなかった。
…彼以外。
「おれ、あさのけいご!よろしくな」
「…へ?」
明るい茶色の髪の髪の少年はお日様みたいな笑顔で笑った。
「…きみ、知らないの?僕のうわさ」
「知ってるけど、はなしてみないとわかんないだろ?」
「…変なやつ」
とぼしたつもりだったのに彼は明るく笑った。
その笑顔に、何故か泣きそうになった。
彼なら、信じていいのかもしれない。
モノクロの世界に、彩がさした
(陽のような彼に)(救われた気がした)