最小公倍数
□二話
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あれから時はたち、僕らは中学生になった。
僕も啓吾も立派に女好きだ。
…この場合、立派とはいえないか。
学校が終わった僕は啓吾と別れ、今日はある交差点に来ている。
小さな花瓶に置かれた一輪の花。
…今日も、先をこされた。
『また来てくれたの?』
足のない、他の誰にも視えない少女が嬉しそうに笑う。
「うん、…また来てくれたんだ?"オレンジ君"」
『えへへっ、お花持ってきてくれたんだ』
かわいく笑う少女につられて僕も微笑んだ。
オレンジ君とは少女にいつも花を持ってくる顔も知らない少年?だ。
少女…奈津ちゃんは交通事故にあい、…逝ってしまった。
それを見つけ、仲良くなった。
「会ってみたいな…」
『すごくいい人だよ!』
そうだね、と奈津ちゃんの頭を撫でるとバイバイ、と手を振った。
明日は、晴れ。
久々に、軽くなった気分に鼻歌をふかしながら、僕は家へと向かった。
(♪〜)(後で不思議そうな顔をした啓吾を殴ったのは、お約束)