最小公倍数
□四話
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入学式が終わってクラスにも馴染んだ(溶け込んだ?)頃、一護と啓吾と話していたら、黒髪の気の強そうな女の子が一護に話しかけてきた。
「一護、何、あんたまたやらかしたの?」
呆れたように笑う彼女にこの間の喧嘩を思い出した。
…一護ド派手だったからなぁ
因みにあの後僕の嘘がきいたのか、謹慎になったのは大島の方だった。
「何だよたつき、」
少女はどうやらたつきというらしい。
そういえばクラスに有沢たつきって名前あった気がする。
有沢さん(仮)は僕と啓吾に気がつくと驚いた顔をした。
「珍しいじゃん一護、あんたが茶渡以外といるなんて」
「うるせーよ。
あ、こいつ有沢たつき。幼なじみなんだ」
僕の予想通りの有沢さんはにっ、と屈託のない笑顔を向けた。
「あたしは有沢たつき。よろしくな
一護こう見えていい奴だからよろしくしてやって」
なんというか…姉御肌な人。
「僕は小島浅葱。よろしくね
で、こっちが…」
「浅野啓吾っす!よろしく!」
啓吾を紹介する前に自分で啓吾が言った。
耳元で大声を出されて僕は顔をしかめた。
「たつきちゃーん!」
オレンジの髪の少女が元気よく手を振る。
「織姫!あんたもうちょい大人しく来な」
「えへへ…あ!あなた達は、小島浅葱君と浅野啓吾君?あたし井上織姫、よろしくねー」
井上さんはどうやら天然らしい。
僕はよろしく、と挨拶しただけだったが、啓吾はストライクゾーンにきたらしく口説きにかかっている。
…あ、有沢さんに蹴られた。
「馬鹿だなぁ、啓吾」
「…んだよ、浅葱。お前だって女口説くくせに」
えぇ!?と多少騒ぐ周囲をスルーすると、笑顔で答えた。
「嫌だなぁ、僕の好みは年上だよ」
…何故か周りが舌打ちしたのは聞かなかった事にする。
*