最小公倍数

□五話
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一護たちと仲良くなって、数ヶ月がたった。


どうやら一護は通学路が僕と同じ方向らしく、あの日から朝は一緒に通っている。


それをきっかけに、啓悟の家に泊まるのを控えるようになった。


甘えすぎるのはよくないから、ね。


一護の家族はいい人ばっかりで、時々夕飯をご馳走になったりしてる。


今日も何時もと同じように朝の通学路を音楽を聞きながら歩く。


「え、…」


思わず鞄を落としそうになった。


いや、うん…これは動じない方が変だと思う。


だって…一護の家に大きな穴があいてたんだから。


「あ、おはよー浅葱さん」


「おはよう夏梨ちゃん
どうしたの?この穴…」


「昨日トラックが突っ込んだみたいでさぁ…
怪我人がいなかったのがキセキだよね」


一護の妹の夏梨ちゃんに話を聞いてへぇ、と納得した。


けど気のせいかな?


…虚の、気配がしたのは


「あっ!悪ィ浅葱、先行っといてくれ!!」


ひょこっと顔を出してすまなさそうに言う一護に、了解と返してから、オジサンに挨拶に行った。


「おはようございます、おじさん」


「おはよう浅葱君
すまないねこんな状況で
夜中にトラックに突っ込まれたみたいなんだ
なーに、犯人だってすぐ名乗り出てくれるさ!」


がはは、と豪快に笑うおじさんに心の中で突っ込んだ。


多分、無理だと思います…それ。


「それじゃあ僕行ってきます」


「行ってらっしゃい!気をつけてな!」


ぺこりと一礼してから僕はその場を去った。



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