最小公倍数
□六話
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油断した。
最近どうもあの化け物が少なくて、気を抜いていたせいもあるのだろうけど、
「…っは、はっ…」
只今、絶賛追いかけられ中です。はい。
学校からの帰り道。
今日はバイトなので啓悟とも別れて1人で歩いてたら、背後から嫌な気配がした。
人間、嫌な予感ほど当たるもので。
悪寒に襲われ恐る恐る後ろを向くと、白い仮面の化け物が。
「…っ!」
今にも襲いかかりそうなそいつを横目に見ながら、僕は走り出した。
化け物は負けじと僕の後を追ってくる。
せめて…
・・・・・・・・
黒装束を着た誰かのもとに行かなくては。
ほつれそうになる足を、必死で動かす。
ゆっくりと迫る命の危険に頭が警鐘を鳴らしていた。
――ザッ
「――…うわっ!」
疎かになった足元にあった石で躓いて、転ける。
身を起こすも、目の前には僕に襲いかかろうと、鋭い爪を振りかざす化け物の姿が。
もう、だめだ。
諦めて目を強く閉じようとした時、――…目の前を橙が舞った。
――ザンッ
「てめぇ!浅葱に何してやがる!」
それは、黒装束を着た…
「行くぜ!」
紛れもない友達の姿。
*