僕の世界が変わるまで。

□ちゃいるど きる
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松陽先生は誰にでも優しい人だった。
だから皆に好かれて信頼されて
先生の周りはいつもいつも
羨ましいくらい笑顔で溢れかえってて・・・
俺もこんな人みたいになれたらなぁって
ずっと思ってた。
こんな俺にも優しくしてくれる先生が
大好きだ。先生が俺を助けてくれた。
言葉では表せないくらいに先生には
本当に感謝しているんだ。


だけど・・・・
だけどそれは・・・・・



「銀ちゃん」

聞きなれた声が聞こえた。
目を開けると目の前に神楽がいた。

「お腹すいた」

時計の針は正午を過ぎ、神楽の大きなお腹の音が鳴り響く。

「新八は?」

「今日はお通ちゃんのライブアル」

「ったく使えねー眼鏡だな」

「お前に言われたくねーんだヨ天パ」




懐かしい夢を見た。

あの時 確かに俺は思ったんだ。
人は誰でも人を裏切るものだと
再確認出来てラッキーってな具合に・・・



「せんせーせんせー」

「は???」

「って魘されてたアルよ
先生って誰アルか?」

「・・・・・・先生は先生だよ・・・
病院の先生とか寺子屋の先生とか」

「先生に怒られる夢でも見てたアルか?」

「ま、そんな感じ」







口に手を押し当てられた。
目の前にはニコニコと笑う先生が居て
そっと人差し指を立てた。
それが何を意味するのかはもう分かっている。
だから俺は首を縦に振ったんだ。




「ぐすッ・・・・・」

「ぎ、銀ちゃん!?」

「大丈夫、なんかモノノケ島のナキ
思い出しただけだから」

「グンジョーな?グンジョーいい奴だったな?」

「うん、グンジョーまじでカッコイイよ」

「いい友情だったな?」

「ほんと、いい奴だよグンジョー」

「・・・・泣くなよ銀ちゃん・・・・」

「いや、泣いてねーし」

「・・・・・・ナキ」

「だから泣いてねーっつの!」





今更だろ・・・・
急に隠し事をしていることに
恐怖を覚えてしまった。


俺はいつも
タイミングが悪いから・・・
見たくないものまで時々見えてしまう



神楽の目の前で泣いてしまうとは思わなかったけど・・・
迂闊だったと今は反省している
だって急に涙が出たんだからしょうがない
いや、涙でなく汗だったけどね



「先生は俺の事・・・ずっと嫌いだったの?」


その問いかけに先生は俺に何と答えたのか
あまり思い出せないんだ・・・。






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