小説

□君しか見えない
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「今日、連中共で飲むらしいんですが
旦那方も来やすかぃ?」


町をふらふらしていて、巡回中の沖田君に
会った。


「あー、でも連中同士だろ?
俺が行っても邪魔じゃん?」

「いやいや、旦那がいた方が皆楽しいって
言ってやしたぜ?」

「はぁ?」

「じゃ、そういうことで。
六時に屯所で待ってやすぜ」

「えーー、でもよ〜〜・・・」


言い訳を言い終る前に沖田君は
帰っていってしまった。


「あーーー・・・・」


出した手をどこへやればいいのか分からず
空中に彷徨っていた。







「何でコイツがいるんだ、おい・・・」

「黙れ、この腐れマヨラー」

「おい、誰だ?誰が言った?今。
出てこい、ちゃんと痛く斬ってやるから」

「お宅の子に誘われまして。
断る余裕も与えられずに優柔不断なままも
嫌だったので来てやりましたとさ。」

「いらんわ!!!」

「・・・・賑やかなこった」

「あ!?」

「ん、酒。」

「単語で命令するな!!!」





で、必然的に飲み比べを初めて
酔い潰れた。


「あーー、また来てやるよ。」

「・・・・・・・・・・」

「って聞いてねーか。」




俺の持ってないモノを、
俺の失くしたモノをこいつは持っていて
それを今でも護り続けてる。


「・・・・羨ましい・・・なぁ〜・・・
なんて。・・・ね。」




時々、どうしようもなく壊してしまいたくなる。





end
 

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