短編小説
□放課後レッスン
2ページ/4ページ
「…それで何処を教えてほしいんだい?」
「えっと、ここです」
リデルは教科書を開いて見せた。
「ええ!? キミそんなとこもできないのかい!?」
「す…すいません…」
「キミ、まともに授業受けてないだろ?」
「はい…風邪引いちゃって」
「はあ、風邪か…なら何とも言えないな…。
じゃあ、この優秀で偉大なボクがキミの頭に叩き込んでやるから、しっかり聞いているんだぞ?」
「はい!」
* * *
「〜で、こうなるわけだ。わかったかい?」
「は…はい…」
「…本当に解ってるの?」
「…」
「じゃあ、今からボクが練習問題を作るからキミは復習をして待ってて」
「はい」
リデルはさっきノートに書いた事を何度も読み直した。
「…はい、これ」
「あ…」
クルークは自分のノートに練習問題を書いて、そのページを一枚切ってリデルに渡した。
「問題はたったの3門。これが出来たら、もう終わりだよ」
「が、頑張ります」
それからリデルは懸命に取り組んだ。
「えっと…えっと…」
「解らないなら頭で考えるより、紙に書いてみなよ」
「はい…」
「まず、フィールドの黄ぷよ二つを全消しするには…次に落ちてくるでかぷよをどうすれば良いのか」
「…! わかりました! でかぷよを黄色に変えて消せば良いのですね!」
「そう、よくできたね」
そしてクルークはリデルに初めて微笑みかけた。
((クルークさんって…こんな表情(かお)もするんだ…))
思わずリデルはニコニコした。
「じゃあ、もう遅いからボクは帰るよ。またね」
「えっ!」
「…なんだい?」
「あの…一緒に……帰りませんか…?」
クルークは驚いた顔でリデルを見ながら固まった。
そして、みるみる内に赤くなった。
「…か、かか勝手にすれば良いさ!!」
「はい。では勝手にします♪」
「ボ、ボクと一緒に帰れるなんてキミは幸運だね!!」
「えへへ…クルークさん、ありがとうございます」
「…ったく、キミってやつは……」
クルークとリデルは、まるで幼なじみのようにふざけ合いながら帰った。