短編小説


□桃色スイートキャンディ
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キーンコーンカーンコーン…


「! 終わったわ!」


とあるエリート学校の初等部。
彼女・フェーリは授業終了のチャイムを聞いて目が宝石の様にキラキラと輝きだした。



「起立、気をつけ、礼」


「「「さようなら」」」



帰りの号令が掛かるとフェーリはいち早く教室を出て、学校の高等部まで走った。



『今日はアタシの特別な日…年に一度有るか無いかと言われる"恋愛運最強に絶好調の日"!! アタシの占いがそう答えを出していたわ!! だから今日は絶対に―――――――












――――――アタシとレムレス先輩が結ばれる日なのよっ!!!』




ガラッ


「レムレス先輩っ!」



フェーリは勢いのあまりドアを思いっ切り開けてしまった。
その教室の中にいる高等部生徒達は、突然現れたフェーリに唖然としていた。



「…あら?」



フェーリが辺りを見回しても愛しの緑の姿は無かった。
そんなとき、ある生徒がフェーリに話しかけた。



「君って…フェーリ?だったっけ」


「は、はい!」


「レムレスならもう帰ったと思うけど…」


「!! 本当ですか!?」


「うん。でもさっき行ったばかりだから……「ありがとうございます!!!」



フェーリはその人の言葉を最後まで聞く前に、脚が先に動いた。勢い良く駆け出した。



『今日はレアな日なんだから、逃すわけにはいかないのよ……!!!!』



「はあ…はあ…っ」



フェーリは宛てがなく走っているわけではない。けれど、彼が何処に居るのかわからない。
とりあえずフェーリはレムレスの通学路を思い出しながら懸命に走った。



すると、クレープ屋の前に見覚えのある姿があった。


「っ、あれだわ…」



「レムレス先輩ーっ!」


「…あっ、フェーリだ。こんにちは」


「はい! こんにちは!」


「突然どうしたんだい?」


「あ…いえ…偶然通り掛かったものですから…」


「そうなんだ。あ、フェーリ。キミもここのクレープ食べてみると良いよ。とても甘くて美味しいからね」



((こ、これって…デ…デ…デートに誘えるチャンスじゃない!?))



あまりの感動にフェーリはニヤニヤしてきた。



「もちろんです! …一緒に食べませんか?」


「うん、いいよ」


((言えた…言えたわ!))



そしてフェーリは、レムレスイチ押しの苺や生クリームの入った甘い甘いクレープを買った。

一口かじると苺の酸味が口いっぱいに広がった。
二口かじると生クリームの甘ったるさが口いっぱいに広がった。



((そういえば、ファーストキスって甘酸っぱいって言うけど…。こんな感じなのかしらね?

…やだ。アタシったら何考えてるのかしら…))

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