短編小説
□放課後レッスン
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キーンコーンカーンコーン…
「起立! 気をつけ! 礼!」
「「「さようなら」」」
帰りの号令と共に、児童達は一気に廊下を駆けて行く。
「…まったく。みんな子供だなぁ。急いで行ってもどうせ下駄箱で混むんだから、結局遅れるのに」
クルークはグチグチ言いながら教科書の整理をしていた。
「みんなもボクみたいに大人になればいいのに。…よし、もう下駄箱は空いたかな」
そう言うとちょうど整理が終わり、クルークは鞄を肩にかけて帰ろうとした。
「ま、待ってください」
「?…」
振り向くと、そこにはリデルが居た。
「あの、その…」
「なんだい? 言いたい事があるんならハッキリ言うべきだね」
「は、はい…えっと…」
クルークはハッキリと物を言わないリデルに苛々し、机に指でカツカツ音をたてながら言葉の続きを待った。
「その…明日、筆記テストがあるじゃないですか…」
「それで?」
「……勉強を…教えて欲しいんです」
「へ!?」
「駄目ですか…?」
「あ、ああ別に構わないけど…」
予想外な展開のあまり、クルークは曖昧な言葉しか返せなかった。
「…じゃあボクの席の前に座って。そこ、シグの席だから」
「…はいっ!」
そしてリデルは嬉しそうにシグの席に座った。
それを見てため息をついたクルークは自分の席に座り、リデルと向かい合う形になった。