◇OP(PINK HOLIC)◇
□『きみとぼくとではんぶんこ』
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『きみとぼくとではんぶんこ』
だれより近く。
それは手をのばせば届く距離。
いつだって背中あわせのぼくときみ。
重なる手と手。
笑って、泣いて、それでも絶対に離れはしないと。
離しはしないと。
となりに立つきみの見つめる先を、ぼくも見たくて背伸びした。
「今日からサボも家族だ」
大きな手が頭をなでた。
すんと鳴った鼻を長い指がつまむ。
優しく優しく抱き締められて、その上から苦しいくらいぎゅっとされた。
最後にきみが手を握ってくれた。
あたたかくて、泣きそうなくらい、初めてのしあわせ。
今日から弟でお兄ちゃん。
あれ、でも、きみとぼくは。
兄?弟?
どっちがどっち?
「どっちでもないよ。兄でも弟でもない、おれとおまえは家族」
上下じゃなくて横なんだと、きみの言う言葉は時々めちゃくちゃ。
だけどそれがいちばん似合ってるとぼくも思った。
意地をはる必要もなく、守り守られ、たまに本気でケンカして。
ぼくときみは横にならんでおんなじだから。
どんなことでもはんぶんこ。
きみとぼくとではんぶんこ。
†終わり†
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