星のきらめく天空の欠片

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今日からさくらと一緒に友枝小学校に通います。

そのはず、なんだけど・・・。
さくらはお寝坊さんらしく起きてくる気配はない。

ぼくは、ここに居候しはじめてから何故かずっと桃矢の部屋で寝起きしている。
居候の身なので文句はない。
でも桃矢はいいのだろうか?
ベッドを半分占領しているが、今のところ何も言ってこない。
ぼくは床に敷布団で全然構わないのに。
何も言われないのをいいことに、ぼくは桃矢にくっついて寝ている。
人肌のあたたかさを知ってしまい、気づいたらくっつている。

回想は置いといて。

ぼくは藤隆さんの作ってくれたご飯を食べながら、さくらが来なくてそわそわする。
自分より年下の子を頼りにするのは情けない限りだが、もうこの数日でさくらの小学生とは思えない、しっかりぶりと元気いっぱいさ、優しさ、頼もしさに、情けなさはすっとんだ。
傍にいるだけでいいんです。
そんなぼくに桃矢は頭を撫でてくれる。
ぼくはそれが気持ちよくて目を細める。
ぼくが食べ終わったころ、悲鳴みたいなのが聞こえて、次いでドタンッバタンッと大きな音がした。
その音を聞いて、藤隆さんはさくらのお茶碗にごはんをよそいはじめた。
さくらは目をぐるぐるさせながら席について急いでご飯をかきこんでいく。

すごい。でも消化に悪いよ?大丈夫かな?

ぼくは、今日は桃矢が自転車の後ろに乗っけてくれるらしい。
そろそろ出ようとする桃矢に、さくらがラストスパートをかける。
そんなさくらをおいて、桃矢はとっとと玄関に。
ぼくもそれについて行く。
外に出ると桃矢が出してきた自転車の後ろに乗せられる。
なんだか至れり尽くせりでぼくは申し訳ない。
自転車が走りだしてしばらく、さくらが追いついた。
さくらはローラーブレードで登校しているようで、余裕で自転車に並走する。

やっぱりさくら凄すぎ。
というか学校にローラーブレードで登校するって・・・。
絶対さくら以外しないだろ。

そうこうしてると、桃矢の友達・ゆきくんが合流した。
前に会ったときと変わらないあの優しい笑顔で「おはよう」と言ってくれた。
ぼくもちょっとどもったけど「おはよう」と返した。
桃矢もゆきくんも年上なのに敬語じゃなくていいって言う。
ぼくは戸惑う。
だからいつも探り探り。

そういえば、出会ったときから不思議に思っていることがあった。

ゆきくん。
はじめて感じた感覚。
人間のものではなく、まして自然のものでもない。

満月の夜の薫りをもつひと。

いつかわかる時が来るのだろうか。
桜並木を通り過ぎながら散りゆく桜たちがもうすぐだと告げている。
もうすぐ。

星が、動く。
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