右脳の見る白昼夢
□マギ。
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あれ。
気が付くと正方形の部屋。6畳ほどのこの部屋に窓はなく、あるのはマホガニーのテーブルと2脚の椅子。
そのひとつに自分は座り目の前にはティーセットが用意されている。
夢の中の俺の部屋。
いつもそこにいるはずのもう一人の住人はいない。
だけど。
自分の向かいの席にはきちんとお茶の用意がされている。
ただし、今日は最近煎茶が恋しくなっていたせいか用意されていたのは急須と湯呑だった。
この部屋には窓どころかドア自体がない。
だから、彼が留守にしているなんてことはない。
ここは彼と自分のための部屋なのだから。
前触れなく訪れたはじめてのことに戸惑いながらもお茶を飲んでいると部屋唯一の明かりである燭台の灯りが揺らぐ。
一瞬の事。
ほんの瞬きの間、燭台から視線を戻すとバロンの席に見知らぬ男がいた。
「初めて味わう芳香だ」
もらってもいいだろうか。
突然のことに声が出ないが、こくこくと頷く。
男は見たことのない――絹やシルクの織物を纏い、貴金属の装飾が随所にちりばめられ――ひと目で高い身分のものだとわかる格好をしていた。
「このような飲み物は初めてだ」
お礼がしたい。
なにがいいだろうかと男は問うた。
ここは夢の中で俺が御代をもらうことはない。
そう伝えると男は「それはよくない」といった。
「君の用意してくれたお茶、この空間――そして君という存在。私は君に払わなくてはならない」
――対価を
「・・・よくわかんないけど、俺がそれを受け取らないとおじさんには都合が悪い?」
「この上なく。そしてそれは君にとっても」
「俺が?」
うーん、
「・・じゃあ、なにかくれる?」
「ああ、受け取っておくれ」
男はそういうと立ち上がり彼方の傍らにきて彼の額に手をかざした。
「生憎、いまの私にはこれしかない――だから・・」
額から何かが流れ込んでくる。膨大な知識、それが光となって俺のなかに流れ込む。
「『愛し子』よ、過不足なくするために、私の願いを聞いてほしい」
我が名は―――・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・
・・
・
・
・
「目が覚めたかい」
「へ」
目の前には青い肌の巨人さん。
「ようこそ、我が王の選ばれし異世界の旅人よ」
「・・だ・・誰ですか?」
「私はソロモン王に仕えし者」
「えっと、俺お部屋で寝てたはずなんだけど・・ここドコデスカ?」
俺のお城でもさっきまでいた夢の部屋でもない、小さな塔、大きな塔――山積みになった本が所せましと置かれた広い部屋。
そんな場所に俺はいた。
「ここは聖宮、ソロモン王に創られし聖域。そして彼を守り育てる場所」
「彼?」
巨人さんが視線をやった先には俺と同じくらいの男の子が。
「あの子は?」
「彼の名はアラジン。――旅人よ、貴方にお願いがある」
「俺に?なーに?」
「彼が此処を出るときが近づいている。彼が旅立つとき、彼の力になってくれないか」
「巨人さんはいっしょに行かないの?」
「・・私は此処を離れられない」
「そうなんだ・・・じゃあ、俺がいっしょに行くよ」
よくわからないけど、お願いされたし。
「!! ありがとう!」
巨人さんとお話してるとアラジンという男の子が目を覚ました。
「ウーゴくん・・?・・・キミは・・」
「おはよう アラジン。彼は他の人間やアラジンとも違う、異世界からやってきた旅人だよ」
「異世界・・」
「はじめまして。俺はカナタっていうんだ。よろしくね」
「ボクはアラジン。・・カナタくん、ボクと友達になってよ!」
「うん、いいよ。よろしくアラジンくん!」
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天然コンビ結成。
2人で旅を始めるもいつのまにかはぐれる。
アニメの1期が終わってからハマってちょっと書いてたのを、りくで読んでみたいとの要望があったのでUSBから出してみた。