右脳の見る白昼夢

□I F。
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『夢追い』10話で、もしこのひとが介入してたら・・・。





「そのかわり、キミをくれないか」

「――…あ、」

クロロの手がカナタの手をとる。
団員たちもなぜかその空気に身動きできない。

クロロはカナタの手を引き距離が縮まると、カナタの手をとったまま空いた手でカナタの頬に触れようとした。


しかし、その手は空をきる。


カナタの背後からのびてきた腕によって。


掴んでいた手もいつの間にかほどかれていて、クロロとカナタの距離がひらく。


カナタの体を抱きとめるように回された両の腕。

視線を上にやる。

カナタ自身も何が起こったのか分からず自分を抱きしめる腕を辿るように上を見上げた。

誰なのかわかるとカナタは「あ!」とうれしそうな声をあげた。



そこには金髪の青年がいた。


きらめく金糸が肩を滑り落ちる。


「――この子にちょっかいは出さないでくれないかな」


長めの前髪のあいだから一対の紺碧がまみえる。


「ハウル!」


美しい相貌の魔法使いがそこにいた。


「・・・どこから入ってきた――否、『出てきた』のか」

「え?この人、念?」

「そのようだね」


クロロと視線を合わせたのも束の間、金髪の青年――ハウルはカナタの目線にしゃがみ、カナタの両手をとる。


「もう緊張しなくていいよ」

「・・・あ、」

「もう大丈夫だから」


ハウルに言われて自分が先程のクロロに怯えていたことをしる。

自分の手がいつもより冷えている。
ハウルが握ってくれている手が温かい。
ハウルの手とやさしい眼にほぐされて、ここにはいま2人だけじゃないのに、俺の目からはそんなことおかまいなしに涙がこぼれる。

「泣かないでカナタ」

そう言われても、とまらないものはとまらない。

袖で拭いたいがハウルに手を握られてて涙は頬をつたうばかり。
涙と鼻水でくしゃくしゃな俺をみてハウルは「あーあ、可愛い顔が台無しだ」といい、しょうがないなと頭を撫でて抱きしめてくれる。
俺は恥ずかしいけどどうしようもないから、ハウルの首に手をまわして肩口にぐりぐりと顔を押し付けた。




・・・ぽん。(×4)

「・・・なんだ」
「団長」
「気持ちはわかるけどね」
「うん」
「「「「諦めな(さい/って/よ)」」」」
「・・・・」
「顔とスタイルは互角なんだけどねー」
「団長は黒いからね」
「爽やかさで負けてるわ」
「団長は似非だからね」

うんうん。

「・・・おまえたちオレをなんだと、」

「顔だけ」
「かっこつけ」
「黒い」
「オレたちのリーダーとしては文句無いんだけどねー」

そこにいままでぜんぜん流れに乗っていなかったウヴォーが。

「なんだよ団長、落ち込んでんのか?ガキ泣かせたくらいで落ちこむなよ」

その何十倍も女泣かせてるだろ。

「・・・・」



何の収穫もなく、むしろいろいろ失って帰ったクロロであった。



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「泣かないでカナタ」
「あーあ、可愛い顔が台無しだ」

・・・憤死しそうだ。なんだこのキザすぎるセリフ。
でもハウルならさらりといいそうだなと採用。
ちょっとまえに「ハウル!イケメン要員ハウル!!」とのことでしたので書いてみた。
本編では出しどころがまだ思い浮かばないのでIF話として出演してもらっちゃいました。
金髪貴公子ハウルが管理人は一番好きです。黒髪もすきだけど。

ベーコンエッグ作ってるときの「貸しなさい」はステキすぎ。
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