星のきらめく天空の欠片

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桃矢たちと別れ、ぼくはさくらに手をひかれ職員室まで案内される。
大人ばっかりのところというだけでびびっているぼくに、さくらが担任の先生を紹介してくれる。
寺田先生。優しそうな先生。
ぼくはさくらに言われるがまま自己紹介。
忘れないうちにと、藤隆さんから預かった書類を渡す。
さくらは用が済むと「絶対、大丈夫だから」と言って職員室を出て行ってしまった。
ぼくはというと案内された椅子で待機。

HRの時間になって寺田先生と一緒に教室に向かう。
どうやらさくらと同じクラスらしい。
先生についていき、ドアの前で待たされる。
人前で自己紹介など何度もしてきたことなのに、隠せるものが無いと言うだけでこんなにも落ち着かない。
先生に入ってと言われるも、ぐるぐるしてしまい踏み出せない。
まわりはみんなぼくより年下の子たちだというのに情けない。
こわいと思ってしまうともうどうにもならない。
いつまでも入ってこないぼくに業を煮やしたのか先生が中からドアを開けた。
ぼくをみて先生はなんだかびっくりしていた。
でもすぐに「だいじょうぶだ」と笑って中まで手を引いて入ってくれた。
当然のことながらみんなの視線はぼくを向いてるわけで。
痛いほどの視線の中でぼくは促されるまま、心の中で念仏のように繰り返した自己紹介を口にした。

「木之本、あやめ、です。よ、よろしく、おねがい、し、ます」

つっかえつっかえの自己紹介はうまく言えたとは言い難いが、先生の方からぼくのことはきちんと紹介してくれたわけで。
とりあえず第一関門は突破した。

これからこのクラスに馴染めるかはわからないけど、ぼく、がんばります。

そんなぼくをクラスのみんなが温かい目で見ていることにぼくは気づいてなかった。
ちなみにぼくの席は大道寺さんという子のうしろの席でした。
なんだか上流階級の家のお嬢様のような女の子で、これまたぼくの経験値にない女の子。
よろしくと言ってくれたが、ぼくは頷くので精一杯。
情けなくて俯く。
みんなの視線が先生に向いたところでぼくは顔を上げた。


今日は始業式だから授業はない。
連絡事項をしてHRは終わった。
先生がいなくなるとクラスのみんなの質問タイム。
ぼくは当然混乱した。
こんなに囲まれると怖い。

もう何を聞かれてるかわかんないです!

誰か助けて!と思っていると、さくらが来てくれた。
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