星のきらめく天空の欠片

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今日から新学期。
あやめくんは学校についてからとってもそわそわしていた。
詳しいことはわからないけど、辛いことや悲しいことにたくさんあって、人と接するのが苦手なんだって。
うちにはじめて来た日はびしょぬれで、はじめておしゃべりしたのは3日後。
あやめくんはわたしより頭ひとつ分小さくて、すごくたどたどしくしゃべる男の子だった。
わたしと同い年だと聞いてびっくりした。

しばらくしてお兄ちゃんとなんか言い合ってることがあった。
お兄ちゃんはあやめくんの前髪を切りたいと言っていた。
でもあやめくんは嫌がってた。
どうしてか聞いたら、自分の目が気味悪いからだって。
お兄ちゃんはあやめくんの目を綺麗だって言ってた。
夜空をはめ込んだみたいな目だって。
わたしもあやめくんの目をみたいと思ってた。
だって、前髪が隠れてたってとっても綺麗な顔をしてるのに隠したらもったいないと思う。
ちゃんとあやめくんの目をみて話したい。
お父さんは目が悪くなるから切った方がいいって理由もあって賛成してた。
あやめくんは私たちの反応をみて切るか切らないか決めると言った。

はじめて見せてくれた目はすごくきれいだった。

夜空の青に、煌めく金銀の星。

お父さんもとても綺麗だって褒めてた。
あやめくんは眉をハの字にさせて泣きそうな、恥ずかしそうな、でもうれしそうに頬をピンクに染めてはにかんだ。
その顔がとっても可愛いくて、同い年の男の子だということも忘れ思わず抱きしめてた。
そのあと雪兎さんがうちにきて雪兎さんもあやめ君の目を褒めてた。

その日、あやめくんは髪を切った。

やっぱり切ってすぐは落ち着かなさそうにしてたけど、徐々に慣れて。
職員室に入ると握っていた手がぎゅっと握り返してきて顔をみると、不安そうな怯えた目をしてた。
先生に挨拶して、あやめくんを預ける。
職員室を出ようとするとあやめくんの目がもう行っちゃうの?と言っている気がしたけどまたあとでねと職員室を出た。

先生が教室に来てHRが始まった。
それからうちのクラスに転校生だ、と紹介した。
あやめくんはうちのクラスになったんだと喜んでいたら、あやめくんはぜんぜん入ってこない。
あれ?と思っていたら先生がドアを開けに行った。
私の席からじゃ見えないけど先生が話しかけている。
先生に手を引かれてあやめくんが入ってきた。
あやめくんはうつ向き気味に入ってきて真ん中で立ち止ると、びくびくしながらも顔をあげて、自己紹介をした。
1度だけみんなを見渡した目は、遠目でもやっぱりきれいだった。
そのあと先生からもあやめくんについての紹介がされて、その間、あやめくんは肩の荷が下りたみたいにほっと一息ついて、なんか頑張るぞという顔をしていた。
でも、また先生に声をかけられるとビクッとしてた。
そんなあやめくんをみんなが頑張ってと応援してるのが見えた。

だから、ぜったい大丈夫だよ。
怖がらなくていいんだよ。
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