Psalm 03

□夜の秘密
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夜になるとそれは訪れる。







くちゃり。
粘着質な音と、微かな息苦しさに眼が覚める。
覚醒しきらない頭で、ああ、またか、と思う。

手首を熱い手でそっと握られている感触。
押し殺しているような微かな息づかい。

柔らかい感触が唇、頬、こめかみと移動していく。
熱い体温。

薄く眼を開けると端正な顔が眼に入った。
よく似た顔――弟はゆっくりと、しかし熱心に口付けている。


「……っ、」

緊張に高鳴る心臓をおさめるために大きく呼吸をしたくともそれは叶わない。
指先も、身体も動かしてはならない。
目をあけてはいけない。


夜の、僅かな秘密。



 
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