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□dolce
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かったるい。
教室の机に頬杖をつき、友人の大谷の話をなんとなく聞きながら三成はそう思った。
今日はいわゆる『バレンタイン』というやつで、学校内は生徒達だけでなく、教師達も浮かれていた。
教室では皆、もらったチョコの数を自慢したり、競ったり、誰に告白しただとか、その返事がどうだとか、そんなくだらないことをしゃべっている。
(ばかばかしい……)
「三成…、この空気が気に入らぬのはわかるが、そう目くじらを立てるでない」
「…だが刑部、見ろ、この風紀が乱れた校内を」
貴様ら、学校を一体何だと思っている!?ここは神聖な学び舎であって、恋だの何だの、そんなことをする場ではないのだ。
そう叫びたい気分だったが、刑部に諌められた。
「よぉ!石田ァ!!」
背後から背中をばんっ、と叩かれた。その衝撃で三成の頬杖をしていた手が外れ、そのまま机に額を強打した。
「はははっ!悪ぃ、大丈夫か?」
全く心配する様子もなく笑っている男を睨み付けた。
「ぐっ……、長曽我部えええっ!!何をする貴様ァ!!」
机のわきに立て掛けてある竹刀を取ろうとすると、横から出てきた手にひょいっ、と取り上げられた。
「おいおい、今日はValentineなんだぜ?物騒なことはナシだ」
そう言って、竹刀を肩で担ぐようにした政宗に、三成は舌打ちをした。
「何の用だ貴様ら」
「Ha!!こんな日にシケた面してるやつを励ましに来てやったんだろ?」
「あれか?″リア充死ね!!″みたいな(笑)」
「励まされるようなことをした覚えは無い」
三成は面倒くさそうに目線を反らした。