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□兄さんって呼んでイイですか?3
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「燐!」
「あ、ジジィ!」
父さんだろ、と相変わらず口の悪い我が息子、否、娘に一喝いれた。燐を見れば運動着を着て、長くてきれいな髪を横寄りのひとつ括りにしていた。
薄い服から見える体のラインも男とは判断し辛く、我が子ながら関心すらしてしまう。思えば15年前、悪魔や騎士団から燐を守るために女として育てようと決めたのは俺自身だった。小学生の頃は弟よりも男らしくなる言動に焦ったときもあった。しかし、中学校にあがり長らく着ていなかった燐のスカート姿には驚愕した。恐ろしくかわいかったからだ。
それからは、その外見に加え男性恐怖症も幸いして男になかなか近づかなかったため無事にここまで女として育ってきた。
「次は、実技か?」
「おう!授業じゃ一番得意だから頑張るな!」
「姉さん!うろうろしてたら遅れるよ」
燐がきた方から雪男も駆けて来た。
あいつも大変だな。俺も他人ごとではないが…。
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