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□愛ゆえに!!
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「ほくろが欲しい…」
「…それは僕に対する嫌み?兄さん」



二人で過ごす久しぶりの休日。
しかし兄さんからの第一声は僕の期待した甘い一言ではなく、"ほくろ"だった。

「兄さんもない訳じゃないでしょ?」
「でも欲しいとこにない…」


口を尖らせてしゅん…とする仕草は破壊的に可愛い。
そんな兄さんを抱き寄せて首を反らせる。


「ほら、ココにあるじゃない。ココのほくろ、エロくて僕好きだけどな」
「んんー。くすぐったいぃ〜嘗めるなぁ」


兄さんは僕を押し返してそうじゃない、と続ける。


「見えるとこじゃなくて、見えないとこに欲しいんだよ」
「…例えば?」
「ふ、太股のうら…とか」


何でかイラッとした。
兄はなぜそんなことを考えているのだろうか。


「何でそんなとこに欲しいの?っていうかそれを誰に見せたいわけ?」
「雪男に決まってるだろ!」
「え、僕?」
「うん」


そりゃ、兄さんにそんな色っぽいほくろがあったら僕も嬉しいけど。いや、でも判らない。兄さんにしてもらって嬉しいコトなど数え切れないほどある。そのなかで何故ほくろを選んだのかが。
僕の膝に乗ったままの兄さんにもう一度問いかける。


「どうしてそう思ったの?」
「漫画読んでたらさ、男が女のほくろの位置とか知ってんの自慢してたんだよ…」


そう言って兄さんは口ごもる。
そうか、つまり兄さんは


「僕に兄さんとの仲を自慢して欲しかったの?」
「…………うん」


あぁ、僕の兄さんはなんて可愛いんだろうか。
そして相も変わらずおバカさんだ。


「兄さん、自慢したいならもっとカンタンな方法があるよ?」
「え!?ど、どうすんの?」


喜んで、とびっきりの笑顔を向けてくる兄さんの顔を引き寄せて、

がりっ
「イテッ」


唇の端にかぶり付いた。


「うー…何するんだよ」
「そこなら隠せないね。どうしたの?って聞かれたら自慢できるよ」
「あ!なるほど!!凄いな雪男!!」


兄さんのキラキラした笑顔に罪悪感は覚えたものの、取り敢えず納得してもらってよかった。


次の日、早速質問されたはイイが今さら恥ずかしいコトだと気づいた兄さんが必死に弁解しているとこを何回かみかけた。








「虫にかまれたって、奥村くんエライその虫に嫌われとんやね〜」
「へ?何で?」
「だって、奥村くんって直ぐ傷とか治るのに、治ってないやん」
「あ、ホントだ!!」
「気持ちがこもっとる傷は治りにくい言うからな」
「…」

ボンッ

「うわっ、どしたん奥村くん。顔真っ赤やで」
「〜…うっさい///」



Fin.
 

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