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□吸血鬼パロ!
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昔、父の本棚にあった吸血鬼伝説の本が大好きだった。
その本はいつの間にか無くなっていたが…
でも俺は今吸血鬼を探してる。

夜森の中を、ひたすら歩く。
今日は綺麗な下弦の月の日。
友人の松風を連れて。
「疲れたよ〜剣城〜」
「じゃあ、1人で休んでろ。俺は行くぞ」
「1人はやだよぉぉ!!」
いちいちうるさいが、嫌なやつじゃない。
「もうすぐだか…ら…」
そう言うと、水色の髪の少年が苦しそうに横たわっていた。
「大丈夫ですか!?」
松風は、すぐに駆けつける。
少年の息は荒く、今にも死にそうと言った所だ。
「まって!今、救急車を…」
松風が、携帯を取り出して連絡をしようとすると、少年はそれを地面へ落とす。
そして、苦しそうに言葉を発した
「よけいな…ことする…なっ!」
ギロリと、松風を睨みつける。
「すみません…では、俺にできる事は…」
「…血」
「え?」
「血!」
そう言うと、松風の首に噛み付く
ああ、本物だと。
そう思った。
少年にとって、食事。
それはグロテスクな印象を持っていたが、それとは裏腹にとても美しい光景だった。
なんて思う、俺はクレイジーなのだろう。
少年はすぐに、我に帰り
「…ごめん」
と、言い走り去った。
少年が走り去った後、呆然としている松風に声をかけた。
見る限り、あまり血を吸われてないみたいだ。
「大丈夫か…!?松風!」
「えっ!…あ…剣城…別に…」
「そうか…」
「ていうか…」
「ん…?」
「今の人、なんていうか…その…好きに…なっちゃったかも」
「え」
あろうことか。
もしかしたら吸血鬼に(まだ吸血鬼だと言う証拠は無い)好きだとか言う奴は居るのだろうか…
「京介!」
「あ…?」
「行くよ!さあ!」
そう、言って松風はずんずん森の中へ進んで行った。
(さっきまで、乗り気じゃなかった癖に…)
俺も、あの少年が本物に吸血鬼なのか知りたかったために、松風に続いて森の奥へと進んで行った。
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