静臨小説
□もう一度。
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何処までも澄み渡った空が見える。
この空の下でなら、溜め息を吐いたって幸せは逃げないんじゃないだろうか。
「はぁ……」
とある高校の屋上。
黒い髪に、黒い学ラン。
赤いシャツに、紅い瞳をした男子生徒が溜め息をついた。
俺はこの時間の屋上が好きだ。
遮るものはなにもない。
ただただ広い青い空が見える。
特に今日なんか最高だよ。
にしても……暇にも程があるよね。
今は……多分英語じゃなかったかな。
ま、詰まるところ、サボってる訳なんだけどね。
とか。色々考えていたら、
がちゃ
ぎぎぎぎ……
重たい鉄のドアと、コンクリートが擦れる音がした。
誰だよ…俺の平和な時間を邪魔する奴は……
そう思いながら、音のした方を見やると………
「チッ……」
「シズちゃん?!」
「手前も居たのかよ……」
「何で居んの?! 」
「何でって…見りゃぁわかんだろ。サボりだサボり。」
そう言うとシズちゃんは俺の横に寝転がった。
「はぃ?
ちょっとシズちゃん!狭いんだけど。」
「うるせぇ。狭いなら手前がどけ。」
「やだね。誰が退くもんか。
って言うかさ、シズちゃんさぼって大丈夫な訳?
ただでさえ頭悪いのに、赤点追試…どこじゃなくって留年しちゃうよ?あっ!でもそうなったらなったで俺の方が一行上。先輩!良いねぇ。見下せる♪シズちゃん頑張ってー」
「臨也君よぉ……そんなに殺されてぇか?あぁ?!」