静臨小説
□もう一度。
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ピッピッピッピッピッピッ……
真っ白な天井、真っ白なベット、真っ白な壁。
そんな白く広い部屋にある、真っ白なカーテンに二つの影が見える。
「でね、その後、俺らちゅーしたんだよ。覚えてる?シズちゃん。」
病人であろうベットの上の声が懐かしそうに、何処か惜しむようにもう一人に話しかけた。
「あぁ。覚えてる。」
もう一人はお見舞いに来たのだろう。
めんどくさそうに、でも、優しい声色で答えた。
「あのときのシズちゃんの顔、
あははっ。忘れらんないなぁ…
顔真っ赤にしてさぁ。」
「そう言う手前だって、自分からしてきた癖に真っ赤になって俯いてたじゃねぇか。」
「う……。全く…よくそんな前のこと覚えてるよね。」
「手前から言い出したんだろ。」
「………はぁ…。
普段はちょーーーーーっ口下手なのにどうしてこう言う時だけ饒舌になるかなぁ…はぁ…」
「いや。手前には負ける。」
「──ふふっ。」
「?どうしたんだよ急に。」
「んー?んーん。何でもなーい。ふふっ」
こんな風に言い合いをしてたら、変わらない事に幸せを感じたなんて、言ってやらないけどね。
相変わらず笑い続ける俺を見て、シズちゃんは大丈夫かこいつ。…見たいな顔をしながら俺を見てた。