静臨小説

□もう一度。
2ページ/12ページ



ピッピッピッピッピッピッ……


真っ白な天井、真っ白なベット、真っ白な壁。

そんな白く広い部屋にある、真っ白なカーテンに二つの影が見える。


「でね、その後、俺らちゅーしたんだよ。覚えてる?シズちゃん。」


病人であろうベットの上の声が懐かしそうに、何処か惜しむようにもう一人に話しかけた。


「あぁ。覚えてる。」


もう一人はお見舞いに来たのだろう。
めんどくさそうに、でも、優しい声色で答えた。


「あのときのシズちゃんの顔、
あははっ。忘れらんないなぁ…
顔真っ赤にしてさぁ。」

「そう言う手前だって、自分からしてきた癖に真っ赤になって俯いてたじゃねぇか。」

「う……。全く…よくそんな前のこと覚えてるよね。」

「手前から言い出したんだろ。」

「………はぁ…。
普段はちょーーーーーっ口下手なのにどうしてこう言う時だけ饒舌になるかなぁ…はぁ…」

「いや。手前には負ける。」

「──ふふっ。」

「?どうしたんだよ急に。」

「んー?んーん。何でもなーい。ふふっ」


こんな風に言い合いをしてたら、変わらない事に幸せを感じたなんて、言ってやらないけどね。


相変わらず笑い続ける俺を見て、シズちゃんは大丈夫かこいつ。…見たいな顔をしながら俺を見てた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ