わーきんぐ!相馬編

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「………」

「どうしたの、神里さん。珍しくぼーっとして」

「あ、すみません相馬さん…。ちょっと考え事をしてまして」

「考え事?俺で良かったら聞くけど」

「やめろ、相馬。お前は悪化させるだけだ」

「まだ悩みを聞いてすらないのに!?」

「あ、いえ、悩みっていっても小っちゃい事なんですよ」

「何だ?」

「あー。私…、お酒あんまり飲まない方なんですけど、…今すっごく飲みたい気分で」

「何があったんだ、お前」

「いや、ハハ」

「んー。じゃあ解った、内容は聞かないであげるから、今日飲みに行こう」

「え、本当ですか?」

「神里はともかく、相馬は明日朝から仕事だろ」

「大丈夫大丈夫、俺は付き合いで飲むだけだから」

「わぁ、やった!相馬さんありがとうございます!」

「潰れるなよー」

「あ、佐藤さんも来ますか?」

「いや、俺は相馬が使い物にならなくても良いようにパス」

「大丈夫だってば」

「じゃあ今度飲みに行きましょうか。八千代ちゃんも誘って、みんなで」

「あーでも、轟さんお酒飲んだことないって言ってたよ」

「そうなんですか?珍しいですねぇ」

「ま、轟さんは佐藤くんに任せるとして」

「何で俺に任せるんだよ」

「佐藤さんに任せるとして!」

「……神里」

「いたたたた痛い痛いです佐藤さんッ!こ、これ八千代ちゃんにやったら相当」

「佐藤くんはちゃんと轟さんにも手加減してるから大丈夫だよ」

「相馬。お前は黙ってろ」

「痛ッ!…ほら、俺には手加減無しのフライパンだからね!?」

「…えっと、どんまいです相馬さん」

「…ん、そろそろお前ら上がりだろ。目一杯飲んでこい、神里」

「あ、はい!じゃあお先に失礼しますね」

「俺も失礼するね。また明日、佐藤くん」

「お疲れですー」

「ん。お疲れ」






  *




「おかわりー!相馬さんおかわりー!」

「神里さん、ちょっと飲みすぎじゃない?大丈夫?」

「だいじょーぶ!いざとなったら相馬さんがなんとかしてくれるよ!」

「いや、そう期待されても…」

「いいのっ!…ぁたしはただー、…ひっく…」

「ちょっ、神里さん!?泣き上戸なの!?」

「……うー…。ないてなんかないもん……。ひぐっ……」

「しかも意地っ張り…」

「えぐっ、えぐっ…。うぇー…っ。……ひぐっ」

「よしよし、神里さん落ち着いて。―で、何があったの?」

「えぐっ……。らってぇ……えぐっ」

「だって?」

「……ひぐっ。そーまさんが…」

「え、俺?」

「そーまさんが…えぐっ。…かみ……」

「髪?」

「…かみ……。きんぱつがいいって…。えぐっ。さとーさんが……ひぐっ」

「………あー。ハイハイ。俺の好みのことね。佐藤くん、神里さんに話したんだ」

「きんぱつ……えぐっ」

「金髪って言ったって、ただ単に黒よりは好きってだけだし…。それに、神里さんだって金髪に近いと思うけど」

「えぐっ、……ほ、ほんと…?」

「本当本当。嘘つかないよー」

「………ひぐっ」

「だからほら、泣き止んで?」

「…………。えぐっ。……」

「しかし…、そんなこと気にするなんて、まるで俺のことが好きみたいだよ?…なんてね」

「―――ッ。………ヒグッ」

「…?何か今、おかしk」

「お、おかわりぃーー!」

「まだ飲むの!?」

「相馬さんが!おかわりぃ!」

「俺が!?いや、これ以上飲むと明日に響くからちょっと」

「うるひゃい!佐藤さんに怒られちゃえばいいんですー!」

「な、何かさっきより酔いが覚めてない?」

「………(ぐびぐびぐび」

「危ないから!神里さんそれ危ないから!急性中毒起こして死ぬよ!?」

「それは嫌ぁ……」







  *




「…で、言い訳は?」

「神里さんが大量に飲みそうになってたから…。仕方なく俺が代わりに…」

「そうか」

「とか言いながらフライパンで叩くのやめてよ!本当頭痛いんだって!」

「あ、ご、御免なさい相馬さん…。私が無理矢理飲ませちゃったみたいで…」

「何何っ?神里さんと相馬さん、お酒飲んできたの?」

「あ、はい、昨日相馬さんに付き合って貰ったんですよ」

「そうなんだー!おっとなー!」

「つか神里、お前今日非番だろ」

「あ、はい、シフトでは。でも私二日酔いとかしない方なので、相馬さんにも申し訳ないし、来ちゃいました」

「わわ、偉いね神里さん!」

「いえいえ。相馬さんの頭痛も私のせいですし…」

「あんだけ飲んでよく平気だよね、神里さん」

「それに比べて相馬はヘタレてんな」

「佐藤君に言われたくなかったな…」

「―はいっと。種島さん、10番テーブルお願いします」

「あ、はいはーい!無理しないでね、神里さんも相馬さんも」

「私は大丈夫ですよー」

「こんな小っちゃい子に心配かけられて色々とお終いだな、相馬」

「ち、小っちゃくないよ!!」

「種島さんは種のように小さいですよね。正に名は体を表す」

「ヒマワリの種くらいだな」

「ヒマワリはちょっと大きいんじゃないですか?」

「じゃあアサガオくらい?」

「いや、寧ろ数の子レベル…」

「ししゃも…?」

「あ、数の子もししゃもも種じゃないですよ!」

「「あ」」

「だっ大の大人が3人も変な話しないで!」

「じゃあアサガオでいっか」

「ですね」

「ちょっとー!!」

「おいアサガオ、10番テーブル早く」

「アサガオじゃないってばー!!」









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