わーきんぐ!相馬編

□4品目
2ページ/3ページ










「相馬さんのこと…ですか?」
「相馬さんに詳しくなれば相馬さんに甘やかして貰えます!」
「ええっと、一体どういう思考回路の結論なんですか…?」

いまいち山田さんの考えが掴めれないながらも、律儀に相馬さんについて考える。

「相馬さんってどんな人ですか?何が好きで何が嫌いなんですか?」
「そうですねー…。相馬さんかぁ……」

少し考えた後、

「…あの、これは、凄く個人的な意見ですけど」
「?」
「声は凄くかっこいいです!」
「こ、声…ですか?」
「はい!」

とにかく声がかっこいいです!あの声で名前呼ばれるともうドッキドキです!

とかも言いそうになったけど頑張ってこらえた。小鳥遊君の二の舞になっちゃうからね。

「あとは、…たまに脅したりしますけど、結構優しいです」
「優しい……」
「はい。私は良くフォローして貰ってます」
「あ、後は?もっと弱味的な何かありませんか!」
「弱味…?」

弱味……弱味……。

えーっと………。

「……こ、個人情報に詳しいです」
「それはこっちの弱味です!」

だっだって、弱味って言ったらそれしか出てこなくて…。

ま、まぁでも、と山田さんに笑いかける。

「ちょっとからかい癖のあるだけの良い人ですから、警戒とかはしなくて良いと思いますよ?」
「本当ですか?」
「はい!」
「山田を甘やかしてくれますか!?」
「えっ、…と、それは…どうでしょう。山田さんがちゃんとしてれば、…あるいは」
「じゃあ神里さんが山田を甘やかして下さい!」
「ええっ、わ、私ですか?え、えーと……」

山田さんが嫌とかじゃないし寧ろ可愛いと思うけど、甘やかすとなると山田さんにも悪いし、
何より仕事が両方出来なくなるし…ああでもそんなこと言ったら山田さん泣いちゃうかも…どどどうしよう…。

私が結構本気で悩んでいると、

「あれ?どうしたんですか?二人とも」
「―あ、伊波さん…」
「伊波さん!山田を甘やかして下さい!山田甘やかされたいです!」
「ええっ、わ、私?」

あ、伊波さんも私と同じ反応してる。

「えーとえーと……えーと……、あ、そ、相馬さんとか!甘えさせてくれるかもしれないよ?」
「「え?」」

い、伊波さんがアッサリと相馬さんを売った!?
伊波さん、相馬さん嫌いだったの!?

「えええいえ!!違うんです!わ、私はよく知らないけど、
小鳥遊君が『相馬さんに怖いものは無さそうですよね』って呟いてるのを聞いて…!」
「……ああ…」
「………」

伊波さんの話に納得していると、山田さんは俯いてから、

「もう何でもいいから相馬さんに甘えてきます」

目的を達成するために今までやってきた過程をサラッと流して直談判しに行った。

い、いってらっしゃーい…。

スキップする山田さんと、ペコリと頭を下げ仕事に戻る伊波さんに軽く手を振り、さぁ私も仕事仕事、とキッチンを振り返ると、

「…神里。5分かかったからペナルティな」

佐藤さんにダンボールを渡された。

重いよーう……。








.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ