わーきんぐ!相馬編

□5品目
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「ねぇねぇ神里さん」
「はい?」

佐藤さんが休憩に入ると、相馬さんが話しかけてきた。

何だろう。私、何かミスしたっけ。

それにしては口調が柔らかいので、ひとまず安心して相馬さんの返事を待つ。

「神里さんは彼氏とかいないの?」
「はぶ!?―ってあああ卵が…!」

全くの予想外の問いに驚き、薄焼き卵が破れてしまった。

「どうしよう…。勿体無い…」
「どうしたの?―あー。うん、ドンマイ」
「うう…」

『仕事出来る人』がモットーだったのに…。
仕方ない、店長にあげよう。

「あ、ちょっと待って」
「え?」
「まだ焼いてからそんなに経ってないよね。―よっと」

相馬さんがフライパンを持ち上げ、さっきまで相馬さんが仕事していた場所に置く。

何をするのかと見ていると、混ぜてあった卵をさっと垂らし、あっという間に綺麗な形になった。

「わ、凄い…!プ、プロですね!」
「はは、見直した?俺だって伊達にキッチンやってないんだよ」
「…私だって長いはずなのにな…」
「大丈夫大丈夫、神里さんはイザとなったら泣き落としでも使えば何とかなるよ!」
「だ、誰に使うんですか…。私、ちっちゃくないので可愛くないですよ?」

少しだけ拗ねながらそう言うと、相馬さんはちょっとだけ考えて、

「…まぁ、ひとまずはそういうことにしておこうかな」
「え?」

よく解らないことを言い残し、はい、とフライパンを返す。
いつのまにか卵は無くなっていて、テーブルを見ると綺麗なオムライスが出来上がっていた。

相馬さん、有能だなぁ…。

「…よし」

佐藤さんは厳しいけど、せめて相馬さんくらいまでは追い付こう。

「―で、神里さん。彼氏はいないの?」
「ッわぁぁコショウが!大量に!」
「大丈夫?貸して貸して」
「すみません…」
「いやいやーw(何か面白いし♪)」



















「…相馬」

「何ー?佐藤君」

「いつもこれくらいちゃんと働け…!」

「やだな、俺は神里さんがいるとこでしかちゃんと働かないよ!」

「胸張って言うな」

「痛ッ!!フ、フライパン痛い!」

「さっさと働け」

「神里さん〜。助けて〜痛い〜」

「へっ、そ、相馬さん?どうしたんですか?」

「神里。構うな」

「か、構うなと言われましても…。相馬さんがくっついてくるんですが」

「佐藤君がいじめる〜。―あ痛ッ」

「は た ら け !」











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