わーきんぐ!相馬編

□6品目
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「神里さん神里さん!山田のお姉さんになって下さい!
そして山田と禁断の愛でドロドロのグログロに!」
「神里さん神里さん!俺のお嫁さんになってよ!
そして俺と毎日ラブラブのイチャイチャに!」
「なっ…何なんですか二人ともッ!」

こんにちはみなさん。神里です。
今日は何故か二人が朝からこんな調子です。

どうも山田さんの私への求愛(?)ぶりに相馬さんが悪ノリしてるみたいですね。

相馬さんが好きな私としては心臓に悪い冗談ですよ、本当…。

「駄目です相馬さん!神里さんは山田のお姉さんです!」
「駄目駄目!神里さんは俺のお嫁さん!山田さんが何と言おうと譲らないよ!」
「相馬さんのバカーッ」
「ああちょっと、ケンカはやめて下さいよ?」

何で私が止めに入ってるんだろうと思いつつ、二人を制止する。

すると山田さんが私に向かって、

「絶対かわいそうまさんより私の方が神里さんを幸せに出来ます!」
「え、さっきドロドロのグログロとか言ってませんでした…?」
「……。神里さんをソッチの世界に目覚めさせます!」
「やめて!?」

危ない!山田さんの姉になったら私の貞操が危ない気がするよ!?

そして私の反応を見た相馬さんが得意げに、

「ほらね、山田さん!俺の方が絶対幸せに出来るよ!」
「まっ…まだ解らないじゃないですか!」
「何にしろ神里さんは俺の嫁!」
「山田のお姉さん!」
「………」

…というか、個人的に相馬さんの『俺の嫁』宣言に心臓が破裂しそうです。ぱーん!←

「とにかくっ、私は誰のものでもありませんから――」

とまとめようとすると、

「…お前ら何やってんだ?朝から…」
「あ、佐藤さん」

着替え終わったらしい、佐藤さんがキッチンに姿を現した。

やった、常識人が来てくれた!佐藤さんがこの意味不明ハーレムを何とかしてくれるかも!

期待を込めた眼差しで佐藤さんを見つめる。
山田さんと相馬さんから大体の話を聞いた佐藤さんは、ふむ、と頷いた後、

「馬鹿言え。神里は俺の娘だ」

と真顔で言われた。

佐藤さぁぁ――ん!?

「さっ佐藤君まで…!俺の敵だったなんて…!」
「佐藤さん…!侮れません…!」
「さささ佐藤さん!?何乗っちゃってるんですか!?」
「乗る?何がだ?」

うわぁぁ佐藤さんがSモード入ってるー!

種島さん弄る時と同じ顔してるよー!?

「…佐藤さんを頼った私が馬鹿でした…」
「佐藤君!神里さんは俺の嫁なの!ドジッ娘専業主婦!」
「違います!山田のアダルティなお姉さんです!」
「何を言う、神里は俺の箱入り一人娘だ」
「皆さん設定が細かくなってますよ!?」

どうしよう。本当もう何なのこの状況…。

盛り上がる3人を横目に、もう放っておこう…と下ごしらえにかかると、

「おはようございまーす。…って、何やってるんですか?」

小鳥遊くん!今度こそ常識人が!

「小鳥遊くん!ちょうど良いところに!」

逃げるように小鳥遊くんに近付く。

普段あまりこういうことはしないので、小鳥遊くんは驚いたようだった。

「え、神里さん?ど、どうしたんですか?」
「耳を澄ませば解ります…」
「「…………」」
「……。大体解りました」

流石小鳥遊くん。しかも相馬さんや佐藤さんと違って悪ノリもしてないし!偉い!

「えーと、つまりこうですね。神里さんが3人の取り合いになっていると」
「はい…。私こんな状況初めてなんですけど…。相馬さんも佐藤さんも悪ノリするし…」
「?…相馬さんも…?」
「へ?ええ、だってそうでしょう?」
「………。そうですね」
「え?な、何でそんなニコニコしてるんですか?」
「いえ、何でもないですよ?
…まぁとにかく、あの状況を何とかしないと、仕事になりませんね」

こくこくと頷く。

小鳥遊くん、ちょっと変態さんだとか思ってて御免ね!小鳥遊くんが一番頼れる!

「大丈夫です、俺に任せて下さい」

そう言ってにこっと笑い、スタスタとキッチン向かう小鳥遊くんを後ろから見守る。

「みなさん、確認しますが」
「何ですか小鳥遊さん」
「山田は神里さんに姉になって欲しくて、
相馬さんは神里さんにお嫁に来て欲しくて、
佐藤さんは神里さんに娘になって欲しいと」
「俺はなって欲しいんじゃなくて、娘なんだけどな」
「佐藤さんは一旦黙ってて下さい」

こういうことですね?と確認する。そうそう、と相馬さんが頷いた。

「―じゃあそれ、みんなやっちゃえば良いじゃないですか!」
「「え?」」

……た…、小鳥遊くん…?

え?何?小鳥遊くんは一体何を…!?

「だって実現可能ですよ、全部。―つまりは、相馬さんと神里さんが夫婦、
そして神里さんと山田が姉妹、佐藤さんがその親、って。
山田と相馬さんは義兄妹になりますね」

「「「………!」」」

「山田ファミリーが増えました…!」
「山田も娘で、相馬が義理の息子…」
「神里さんが俺の嫁なら何でも良いよ」

おおお!小鳥遊くん凄い!!

タタタッと皆の所へ駆け寄り、小鳥遊くんにお礼を言う。

「ありがとう小鳥遊くん!何か収まったみたいです!」
「いえいえ。神里さんがこれで良いなら、ですけど」
「?これで全然良いですよ!」
「そうですか?―じゃあ俺、掃除してきますね」
「はいっ」

やった、小鳥遊くんのお陰でさっきの変な空間が無くなっ………

「神里さーん」
「わっ、そ、相馬さん!急に抱き着かないで下さい!」
「いいじゃない、俺の嫁なんだから♪」
「相馬さんばかりずるいです!山田もお姉ちゃんに甘えます!」
「ぅわぁっ、ふ、二人は重い…!」
「よーしよーし、良い子だ」
「わぁぁっ!佐藤さん撫でないで下さい!髪ってか頭がぐらぐらする、」
「神里さーん」
「お姉ちゃーん」
「よーしよーし」
「何これ!?悪化してるうああ頭が揺れ、ちょっ、あああ、」


…私の平穏はいつ来るのでしょうか。







とある日のワグナリア開店前のお話。









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