わーきんぐ!相馬編

□8品目
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『相馬くん』
『何ー?里香ちゃん』


こんにちは!種島ぽぷらだよ!
今日も元気にバイト、バイト!―と思ってたら…。

「……ねぇねぇ佐藤さん」
「何だ」

近くにいた佐藤さんの服を引っ張る。
私は相馬さんと里香さんの方を見つめ、

「あの二人って、いつから『相馬くん』『里香ちゃん』って呼び合うようになったの?」
「マジか」

佐藤さんがいつも通りの顔をして言う。

もー!本当に驚いてるのか私をからかってるのか解らないよ!

「佐藤さん何か知らないの?」
「俺は全く知らん。…でもまぁ、恐らく…」
「恐らく…!?」
「背が伸びたんだろうな」
「やっぱり私をからかってるの!?」

するとフロアから、ひょいとチーフの八千代さんが顔を出した。

「ぽぷらちゃん?どうしたの?」
「八千代さんは相馬さんと里香さんのこと知ってる?」
「相馬君と里香ちゃん?」

ちょいんちょいんと八千代さんの頭にハテナマークが浮かぶ。

八千代さんも何も知らないみたい…。

「その二人がどうかしたの?」
「呼びかたが親しくなったんだと。ほれ」

佐藤さんが遠慮無く二人を指差す。


『里香ちゃん、山田さんがオーダーミスしちゃったみたいだよ』
『え?じゃあこれ、要らないんですか?』
『んー。お客さんには出せないね』
『解りました、じゃあ店長に―』
『ストップ、俺にちょーだい』
『へ?』
『いただきまーす』
『わっ、そそそ相馬くん!その箸、私が使ってた箸じゃ、』


「ふ…不純異性交遊…!!」
「…あいつら、付き合ってんのか」
「「ええ!?」」

まっまさか相馬さんと里香さんが…!?
私、全然気付かなかった…!

「わ、わわた、わわわたし、私、」

八千代さんが動揺して刀をガチャガチャと鳴らす。

わぁぁやや八千代さん落ち着いて!

「でっでもこれ、杏子さんにも言うべきじゃないのかしら…?」
「…!うちのバイトって確か、」
「色恋沙汰は一切認めないらしいな」

何故か佐藤さんが斜め上の方向を向いて言う。

そそそっか、じゃあ店長に言った方が…!


……でも……、


「…でも…、もしそれで相馬さんと里香さんが別れなきゃいけなくなったら…」
「それどころか、どっちかが辞めるかもな」
「「………!!」」

どうしよう!?言うに言えないよ…!!

「どうしよう佐藤さん!」
「どうしような種島」
「佐藤さん楽しんでるでしょ!」

もー!佐藤さんの馬鹿ぁー!

私がポカスカと佐藤さんを叩いていると、

「先輩?どうしたんですか?」
「かたなし君!」

不意に現れたかたなし君に飛び付き、簡単に事情を話す。
するとかたなし君は頷いてから、

「とりあえず…、本人達に付き合ってるのか聞くのが先じゃないですか?」
「!」

ということで。

やっぱりこういうのは直接聞いた方がいいよね!

「よし、じゃあ種島、行け。お前が適任だ」
「うんっ、行ってくる!」









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