わーきんぐ!相馬編

□16品目
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「里香ちゃーん」

「はい、何ですか?相馬くん」

「里香ちゃんって甘い物平気?」

「私ですか?まぁ、平気ですけど」

「『まぁ』?」

「あー、好きなんですけどね。でも、沢山は食べられないですかねー。ちょっとくどくて」

「へぇっ、そうなんだ!女の子はみんな甘い物平気かと思ってたよ」

「そんなことないですよ。私、チョコレートはミルクよりビターの方が好きですし」

「なるほどねー」

「あ、でも、他のワグナリア女子群メンバーは結構甘い物平気みたいですね」

「そっかそっか。じゃあ毎年あげてるホワイトデーのお返しも喜んで貰えてるのかな」

「はい、勿論。私も嬉しいですよ、いつもちゃんと食べてます」

「それは良かった。―それでさ、里香ちゃん」

「はい、?」

「例えば、里香ちゃんがホワイトデーにホワイトチョコレートを知らない男の子から貰ったとするよ」

「え?あ、はい」

「里香ちゃんはどうする?そのチョコレート、食べる?」

「そう…ですねぇ…、とりあえず相馬くんに相談ですね」

「ああ、そうなるよね。んーじゃあ、俺に片思い中という設定で」

「片思い中かぁ…。じゃあ…、…まぁ、食べますね」

「相手にとってはそれは告白したようなものだけど?」

「えっ、……えー…、で、でも……。気持ちだけ受け取りますって言って…」

「食べる?」

「食べますね…、やっぱり」

「食べるよねぇ。相手の子が可哀相だし」

「はい。折角勇気出してくれたのに…食べない訳にはいきません」

「うんうん。別にその子のことが好きじゃなくても、他に好きな人がいても、やっぱり貰って食べるよねー」

「ですねー。逆に食べないなら貰わないべきだと思います」

「だよね!里香ちゃん良いこと言った!」

「?はい!」








「…………………………………」







「…あ、あれ…?佐藤さん、どうしました?」

「wwww」

「そっ、相馬さんも何で笑ってるんですか!?」

「いや?w笑ってなんかwないwよw」

「台詞の中でwが見え隠れしてますよ!」

「…………………………………」

「さっ、佐藤さん!何ていうか、こっちに帰ってきて下さい!?」

「……………俺はさ」

「へ?」


「……俺は、それを食うっつーことは、気持ちもないのに応えたような気にさせて、相手に悪ぃと思うんだよ」

「え?佐藤さん?…あ、さっきの話…?聞いてたんですか?」

「でもさぁ佐藤君。貰ってから食べるか食べないかなんて相手には解らないことだし、一緒だと思うんだけど」

「相手には一緒に思えるかもしれんが、俺が負い目を感じなきゃならんのは嫌なんだよ」

「ふ、二人とも…?」

「だったら最初から貰うべきじゃないって」

「勝手にあっちが置いてったんだよ」

「そのまま置いといても良かったんじゃない?」

「放置の方が後味悪い」

「もー!佐藤君のヘタレ!」

「……」

「あイッタタタ痛痛痛い痛いっ!痛いよ佐藤君!」


「……つまり、佐藤さんが知らない女の子からチョコレートを貰ったんですか!?」

「みたいだよ!それで、貰ったは良いんだけど食べる気はないみたいなんだよね」

「えっ、食べないんですか?」

「佐藤君のお母さんとかワグナリアの女の子達にあげようとしてるんだよ」

「えー!?」

「…男なんてみんなそんなもんだろ」

「いやいや佐藤君?そう見せかけて、案外本人が食べてる場合が多いんだよ?」

「よそはよそ、うちはうちだ」

「佐藤君が言い出したことだよ!?」

「佐藤さん…。食べてあげた方が良いと思いますよ…?女の子からの気持ちなら尚更です」

「けどよ神里、もしお前が知らない男から突然手作りと思われる乾電池を貰ったらどうする?使うか?」

「佐藤君にとっての手作りチョコは乾電池なの!?w」

「ていうか乾電池って作れるものなんですか!?」

「知らんけど、俺は今そういう気分だ」

「佐藤さんの気持ちは量りかねます…」

「でもやっぱり食べた方が良いって、佐藤君。きっと里香ちゃんもその乾電池を使うよ!」

「そっ、そうですよ多分!食べた方が良いです!」

「…………ちっ」












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