誰にも言えない恋だった…
□第1章 あいつ今、何してる?
1ページ/3ページ
2015年・某日−。
とあるテレビ局にてJはある番組の撮影をしていた。
この番組がきっかけで芸能界を引退することになるなんて、この時の彼は全く思っていなかった。
「本日のゲストはJさんです。」
「…よろしくお願いします。」
「先日、Jさんが逢いたい人を何人か候補を挙げて貰ってます。」
「はい。何人か逢いたいと思っている子がいるんです。」
「今回は小学校時代の同級生の方が一人、出演OKをいただけました。」
「本当ですか?」
小学校時代の同級生という言葉にJは一気に笑顔になった。
それは今までテレビ出演した際、見せたことが無いであろう眩しいものになっていた。
番組のスタッフだけでなく彼のマネージャーでさえ驚くくらいだった。
「茅野梓さんです。彼女とはどういった仲だったんですか?」
「今はもう連絡がつかなくなった幼馴染です。」
「現在、彼女がどうしてるか見てみましょう。ではVTRスタート!」
司会のその一言で小学校時代の同級生の子が映った映像が始まった。
Jは彼女の姿に驚くのと同時に現在の状況にほっとしていた。
Jはまさかこの映像に映っていた彼女の一言が、自身の今後を変える決断をさせるなんて思ってもなかった。
(梓ちゃんだ…。最後に逢った時と変わってない…。)
話す時や歩く時の癖は当時とあまり変化がなかったのだろう。
懐かしい時間が流れたようにJは感じていた。