誰にも言えない恋だった…
□第3章 タイムカプセル
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今日はいよいよ小学校の卒業式だ。
長かった小学校の6年間。
思い返せばいろいろなことがあった。梓は特に5年生の時に行われた世界グランプリが思い出に残った。
(J達ビクトリーズが優勝したし、新しい友達もできたしね。)
梓は小学校を卒業したら近所にある公立中学へと進学する予定になっている。
それは香名やJも同じだ。
新しい環境になるということで不安のほうが大きかったが、楽しみなこともある。
「梓!卒業おめでとう!」
「香名こそ卒業おめでとう。」
卒業式は滞りなく終わり、小学校最後の帰りの会。
梓のクラスは担任の先生に一人一人花を渡して一言ずつお礼を言って解散した。
学校を後にした梓はJと一緒に帰宅する。
「J、卒業おめでとう。」
「梓ちゃんもおめでとう…。」
二人はしんみりとしていた。
春からはお互い近所にある公立中学への進学が決まっている。中学校へ進学しても逢えるのに、なんだかもう逢えないような感覚になっていた。
「中学校に進学してもお互い頑張ろうね。」
「もちろん!」
もうすぐ中学生―。
長かった小学校生活に別れを告げて、二人は新たな環境でも頑張っていこうと思った。
タイムカプセルのことを記憶の片隅に置いて…。