誰にも言えない恋だった…
□第3章 タイムカプセル
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6年生に進級し小学校生活もあと残り1年となった。
小学校での6年間は本当に長かった。
小学校に入学した時は6年生のお兄さん、お姉さんがとても大きく頼りになる存在だったのを思い出す。
「今日から6年生だね、J。」
「そうだね、梓ちゃん。」
「なんかいまいち、ピンとこないんだよね。」
「最上級生なんて聴こえはいいだけどね。」
「本当だよ、J。」
登校中の二人は今年1年が忙しくなりそうだと話をしていた。
二人の通学班に1年生がいなかったため、今の段階ではあまり最上級生という実感がわかなかった。
だがそのうちその実感がわいてくるものだろうと思っていた。
「梓、J君、おはよう!」
「香名、おはよう!」
「おはよう。香名ちゃん。」
香名の元気な挨拶に二人は返事をする。
この光景は5年生になってから続く朝のいつものこととなっていた。
「朝の会、始めるわよ!」
チャイムとともにクラスの担任が教室へ入ってきた。
今日の予定と連絡事項を伝え終わった後、始業式と入学式に出席した。
小学校生活最後となるこの1年間を全力で楽しもうと思っていた梓だった。