誰にも言えない恋だった…

□第4章 想ひ人〜君に逢いたい〜
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2005年・春−。
梓は高校を卒業しとある大学へと進学していた。
一般入試を受験して現役で入学できた、第一希望の大学だ。

 (なんとか特待生になれたから、学費免除になった。頑張って良かった…。)

Jとは高校進学時に別々の学校になった。
そのため梓はもうこの頃にJとは逢うどころか連絡すら取れない状況になっていた。

 (そういえばJって今、どうしてるんだろう…。)

きっと学業成績優秀な彼のことだ。
どこかの大学には間違いなく進学していると梓は考えていた。

 「梓、久し振り!」
 「香名!本当、久し振りだね!」
 「そういえば梓ってどこの大学に行ったの?」
 「明成の政経だよ。香名は?」
 「梓ってそんなに勉強できたの?私は西洋大の経営学部。」

香名とは高校こそ違ったが学校の方向が同じだった。時々ではあるが二人が登下校中に逢うことがあった。
時にはお互いの家にお邪魔することもあった。

 「そういえば梓はJ君と逢うことはないの?」
 「実は逢うどころか連絡すら取れなくなっちゃったんだよね…。」
 「そうなの?」
 「うん…。たまにJに逢いたいなって思うんだけどね。」

そう言った梓はどこか寂しそうな表情(かお)をしていたのを香名は見逃さなかった。
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