誰にも言えない恋だった…
□第5章 クラス会
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2007年4月1日−。
いよいよ小学6年生の頃のクラスで埋めたタイムカプセルを掘り出す日を迎えた。
当時小学6年生だった梓は、今日という日をずっと楽しみにしていた。
小学校を卒業する間際、当時のクラスで行ったある出来事の約束が今日だったから…。
(まさか何気ない約束を果たすために小学校に行くなんてね…。)
当時の梓は20才の自分は何をやっているのか、またどんな夢や目標を持っているのか、全く想像できなかった。
そんな彼女が高校卒業後、大学進学するなんて全く考えられなかった。
それは『大学って頭のいい人が行くところ』って思っていたから。
(自分一人だけ盛り上がっていて、アホらしいな…。)
そんなことを思いつつ、梓は現場までスコップを持っていく。
当時のクラスメイト全員が集まるとは限らないから、あまり期待していなかった。
(流石にまだ誰もいないか…。)
約束の時間に間に合うように行ったものの、まだ誰もいなかった。
でも暫くすると、ちらほらと当時のクラスのメンバーが来てくれた。
「梓、成人式ぶり!」
「成人式ぶりだね、香名。」
「ってか、茅野はあの頃と変わらねぇな。」
「何を失礼な!」
梓は当時の何気ない約束を覚えていて、来てくれた人がいたことが驚いたのと同時に嬉しかった。
就職組や学生でもアルバイトなど、仕事の都合で来られなかった人もいただろが…。
「埋めたのって、このあたりだっけ?」
「えっとね、あのあたりじゃなかった?」
当時のおぼろげな記憶を頼りに場所の特定をする。
場所を確定すると梓を含めた2〜3人がスコップを使って掘り始める。
「出てくるといいね。」
「ほんと。みんなの記憶が正しければだけど…。」
掘り出す作業に必死になっている梓は目の前のことに集中していた。
当時、目印としていたものがなくなっていた以上、確実に出てくるかはわからない。
「あった…。プラスチックの入れ物、あったよ!」
「茅野、まじか!」
「急げ、急げ!」
3時間粘って必死に掘り出し作業をした甲斐があったと思った梓。
本当に出てくるか不安な中、当時のクラスメイトが交代で掘り出していたから、入れ物が出てきた時は全員が盛り上がった。
「一応、箱は出てきたけど…。」
「問題は中身が自分たちのものなのか、だよね。」
「うん。」
第一発見者となった梓が箱を開けることになった。
箱の中に入っていたのは自分達のタイムカプセルということが確認できた。