君に映る景色

□第3章 文化祭
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今日はいよいよ夏香の学校の文化祭だ。
文化祭と言っても地域の人に中学校のことを知ってもらおうというのが目的で、大きく宣伝していたわけではない。
普段は運動部が注目を浴びるがこの文化祭は文化部のちょっとしたアピールできる機会と言ってもいい。

 (さすがに土曜だし、幸村君は学校だろうから、来るわけないか…。)

ぼんやりと夏香が考え事をしている中、体育館の端からは黄色い声が聴こえてきた。
まさか今、来るかわけないと思っていた彼が来ているなんて思ってもいなかったから…。

 「村田さん、こんにちは。」
 「幸村君…。どうしたの?今日、学校あったんじゃないの?」
 「今日は休みだったし、部活は夏休み中に一応引退したからね。」
 「そっか。でも私の中学校が良くわかったね。」
 「村田さん、公園で絵を描いてた時に学校のジャージで来てたことあったろ?」

夏香は『そういえば…。』と納得した。
彼女のクラスの順番をアナウンスする声と共に夏香は幸村から離れて行った。

 (村田さんのクラスは、世界的に有名な王子様の劇か…。)

幸村が見ている中、夏香のクラスの劇が始まる。
夏香は少し緊張したが中学生活最後の文化祭を楽しんだ。
放課後になり夏香は幸村と少し話す機会があった。

 「村田さん、お疲れ様。」
 「幸村君、今日は来てくれてありがとう。」
 「ううん。俺の学校さ、来週の土曜に中高合同で文化祭があるんだ。ぜひ来てよ。」
 「そうなんだ。でもいいの?」
 「チケットなしで大丈夫だから。」

夏香は『教えてくれてありがとう。友達と行くよ。』というと幸村と別れた。
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