誰にも言えない恋だった…
□第2章 世界グランプリ
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1997年1月−。
冬休み中の梓はJとともに近所の神社へと向かっていた。
「J、待った?」
「ううん。今来たところ。」
「明けましておめでとう。今年もよろしくね。」
「僕のほうこそ、明けましておめでとう。それと今年もよろしくね。」
神社に到着すると二人は行列の最後尾へ並んだ。
年末に初詣に行くための約束をしており、今日は早起きをしたのだ。
「梓ちゃんは今年、どんなお願いをするの?」
「うーんと、お勉強ができるようになりますように…かな。Jは?」
「僕?」
「自分から聴いておいて教えないっていうのはダメだからね!」
「僕は、今年も元気に過ごせますように、ってお願いするつもりだよ…。」
やっと回ってきた順番に二人はニコニコしながら新年のお願いをした。
今年1年間、叶えたいことをきちんとお願いするつもりだ。
(今年こそ、梓ちゃんに気持ちを伝えられますように…。)
このころの梓は何となくだが“今年は大きな変化と出来事が起こる”気がしていた。
初詣から1週間後、ミニ四駆の世界グランプリの日本開催が決定した。
なんとその大会にJが日本代表の一人として選ばれたのだ。
「それにしても急にそんなことになったなんてね。」
「僕だってびっくりしたよ。」
「この1年、頑張ってね。」
開会式が行われる会場の控室でそんな会話していた。
ビクトリーズの入場の順番が回ってきて、J達は会場へと向かっていった。