誰にも言えない恋だった…

□第2章 世界グランプリ
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梓やJは通っている小学校の夏休みに入った。
夏休み中、梓はクラスメイトで友人の香名と遊ぶ約束をしたり、Jの所属するTRFビクトリーズの夏合宿についていく約束をしたりと忙しくする予定だ。

 「梓ちゃん、ビクトリーズの夏合宿、あさってだね。」
 「そうだね。でも本当に私も行っていいの?」
 「うん。でも急にどうしたの?」
 「みんながいいならいいけど…。男所帯のビクトリーズに女の自分がいるのも…。ねぇ?」
 「梓ちゃん、僕、そこまで考えてなかった…。ごめんね。」

困ったように謝るJに梓はさっきの発言を後悔し始めていた。
彼女は『いつもJを困らせることばっかり言ってる』自覚はある。いつも余計なことを言ってしまうところが自分の悪いところだと感じている。

 「ねぇ、J…。困らせるようなこと言ってごめんね。」
 「ううん。僕だって、何の気もなしに合宿に誘っちゃったから、おあいこさまだよ。」
 「もう宿の予約もしたんでしょ?私、合宿に行くよ。」
 「わかった。合宿中、何か困ったことあったら、すぐに言ってね。」
 「うん。Jってさ、本当にいつも優しいよね。」
 「そうかな。そんなことないけど…。」
 「そんなことある。」

二人はそんな会話をした後、別れた。
梓は両親にビクトリーズの合宿については前々から話をしてあった。
女子が自分しかいないことも伝えたうえでの参加が認められた時は少々安心した。

 「梓、お母さんね、あなたに伝えたいことがあるの。」
 「…うん。何?」
 「あなた、もう5年生だから…。」

母は梓に第二次性徴のことについての話をした。
もし困ったことがあったら、土屋博士を頼るように伝えたのだ。
実はビクトリーズの夏合宿の話を梓から聴いた際、母は土屋博士と彼女に関する話をしていたとこの時、教えてくれた。
それと梓に対して話をするのが遅くなったのを謝罪された。
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