誰にも言えない恋だった…
□第4章 想ひ人〜君に逢いたい〜
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2007年1月−。
いよいよ成人式を迎えようとしていた。
成人式には梓も香名も参加するので、お互い会場で落ち合うことになっていた。
「そういえば私ね、J君に逢ったよ。」
「えっ?そうなの?」
「うん。J君さ、めちゃくちゃカッコよくなってた。」
「あのJが?」
「まぁ、あの頃もカッコよかったけど、さらにカッコよくなったよ。」
梓は可愛い顔したJの記憶しかなかったから、かっこよくなった彼の姿を想像できなかった。
「香名さ、Jとはどこで逢ったの?」
「2年生に進級してから半年くらいたった時に大学で逢ったんだ。」
「大学でって、どういうこと?」
「偶然なんだけど、私と同じ西洋大に進学してたみたいなんだ…。」
「そっか…。」
「その時にお互いの連絡先を交換したよ。」
香名は『J君は工学部だから忙しいのか全く連絡来ないけどね。』と続けた。
苦笑いしながら話す香名の様子を見て、何となく“Jらしいな”と感じた梓だった。
「J君から連絡があったら、梓に教えるね。」
「うん。ありがとう。もしJに私の連絡先聴かれたら教えていいから!」
「そのつもりだよ。」
「いよいよ今年だね、梓。」
「何かあったっけ?」
「今年の4月にタイムカプセルを掘り出すでしょ?」
梓は香名のこの一言で小学校卒業間近のことを思い出した。
当時はあんなに楽しみにしていたのに、記憶から消えかけていたのだ。
お互い4月に再会することを約束して成人式の会場を後にした。