誰にも言えない恋だった…

□第4章 想ひ人〜君に逢いたい〜
3ページ/3ページ

2007年1月−。
いよいよ成人式を迎えようとしていた。
成人式には梓も香名も参加するので、お互い会場で落ち合うことになっていた。

 「そういえば私ね、J君に逢ったよ。」
 「えっ?そうなの?」
 「うん。J君さ、めちゃくちゃカッコよくなってた。」
 「あのJが?」
 「まぁ、あの頃もカッコよかったけど、さらにカッコよくなったよ。」

梓は可愛い顔したJの記憶しかなかったから、かっこよくなった彼の姿を想像できなかった。

 「香名さ、Jとはどこで逢ったの?」
 「2年生に進級してから半年くらいたった時に大学で逢ったんだ。」
 「大学でって、どういうこと?」
 「偶然なんだけど、私と同じ西洋大に進学してたみたいなんだ…。」
 「そっか…。」
 「その時にお互いの連絡先を交換したよ。」

香名は『J君は工学部だから忙しいのか全く連絡来ないけどね。』と続けた。
苦笑いしながら話す香名の様子を見て、何となく“Jらしいな”と感じた梓だった。

 「J君から連絡があったら、梓に教えるね。」
 「うん。ありがとう。もしJに私の連絡先聴かれたら教えていいから!」
 「そのつもりだよ。」
 「いよいよ今年だね、梓。」
 「何かあったっけ?」
 「今年の4月にタイムカプセルを掘り出すでしょ?」

梓は香名のこの一言で小学校卒業間近のことを思い出した。
当時はあんなに楽しみにしていたのに、記憶から消えかけていたのだ。
お互い4月に再会することを約束して成人式の会場を後にした。


次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ