君に映る景色

□第5章 君に映る景色
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夏香は受験が終わり、まだ穏やかな時間を過ごし始めた。
久し振りに今日は公園へ出向くことにした。
今日、もしかしたら幸村に逢えるかもしれないと思ったから…。

 (思い過ごしでもいい。なんか今日は幸村君に逢える気がする…。)

夏香のこの予感はだいたい当たるのだ。
公園へ来る際に絵を描く道具も忘れずに持ってきている。

 (今日はこの噴水の池を描くか…。)

今回描く場所を決めると準備を始めた。
3月とはいえ、まだ肌寒いのでひざ掛けやマフラーなど防寒対策をして席へ座る。
遠目で見たら少しばかり怪しい人と思われそうだ。

 「今日はこの場所で描くことにしたんだね。」
 「幸村君!久し振り。」
 「となりに座っていいかな?」
 「もちろん、いいよ。」

幸村はお礼を言うと夏香のとなりに座った。
逢うのが久し振りということもあってか、少しのあいだ二人は無言の状態が続いた。

 「村田さんさ、防寒対策が凄いね。」
 「うん。はたから見たら、かなり怪しい奴だよね。」
 「そうだね。でも俺は、モコモコしてて、かわいいと思うよ。」
 「まったく…。幸村君って口が上手いよね。」

二人は少しずつ話を始めた。
最後にこの公園で話した時のように他愛のない話を…。
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