君ヲ想フ春

□第3章 テニス部の大会
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夏香は2年生に進級した。白石とはクラス離れたが美咲とは同じクラスだった。
部活では後輩も入る予定で、初めて先輩の立場となろうとしている。

 「夏香、よろしくね!」
 「美咲と同じクラスになれて嬉しいで!」
 「そういえばさ、夏香は白石と仲ええよな?」
 「それは違うで。」
 「そうなんや。皆、夏香が白石と仲ええって言ってるで!」
 「それはみんなの思い過ごしや。」

美咲は『なんだ。カップルじゃないんだ…。』というとチャイムを合図に席に着いた。
彼女のその言葉に夏香は苦笑いするしかなかった。

 (担任の話、めっちゃ長いやん…。)

2年生の教室は穏やかな空気の中に笑いが隠れている感じがした。
話の長い担任の話も終わり、体育館へと向かった。
去年は自分が新入生として参加した入学式も今年は在校生としての参加となった。

 (白石と仲がいいのかって…。みんなからそんな風に見えるのかな…。)

入学式のあいだ、夏香はそのことで頭がいっぱいだった。
夏香にとって白石は苦しい時に自分を気にかけてくれる頼りになる存在だ。

 (でもきっと白石は私に対してちょっかい出してるだけやん…。)

きっと白石のことだ。彼女に対して特に何も思っていないという考えに夏香は至った。
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