君ヲ想フ春

□第4章 宿泊学習
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夏香は3年生に進級した。
今年のクラスは美咲と白石と同じだった。
四天宝寺中学校で過ごす最後の1年を新しいクラスで過ごすのが夏香は楽しみだった。

 「美咲、また同じクラスやん。よろしくね。」
 「こっちこそ、よろしくね。」
 「今年は修学旅行があるやん?美咲、同じ班になれるとええな。」
 「確かに!同じ班になれるとええな!」

二人は朝のホームルームが始まる前に気が早いのか修学旅行の話をしていた。
中学生活最大の楽しみと言えば修学旅行と言っていい。
どうせなら仲の良いもの同士で同じ班になれるのなら、その方がいいと考える者は多い。

 「朝のホームルーム始めるぞ!席に着け!」
 「はーい。」

チャイムと共に担任が教室に入ってきた。
今日の予定と連絡事項を済ませると教室はざわついた。

 「静かにしろ!今日の1時間目の学活では修学旅行の班決めだからな!」
 「先生!誰と組んでもいいんですか?」
 「基本は今の班で行動してもらう。決めるのは寝る部屋の班だ。」

担任のその言葉にクラス全員が『なんだ、つまんないの…。』と嘆いた。
苦笑いしながら担任は1時間目開始のチャイムが鳴るのを待つ。

 「先生、泊まる時の班はどう決めるんですか?」
 「それなんだが、できたら同じ班の者同士で組もうかと思ってる。」
 「どういうことですか?」
 「例えばだが、1班と2班の男子が一緒、3班と4班の女子が一緒みたいな感じや。」
 「それでいいんじゃないですか?」

班決めはあっさり過ぎるくらい早く決まった。
偶然かもしれないが、今の班はどこも仲の良い者同士で組まれていたのだ。
それだからなのかは分からないが、即決したのだと思う。

 「…あっさりやな。まぁええぁ。」
 「異論はないみたいやし、ええやなですか?」
 「せやな。じゃあ、あとは班別に当日回るルートを決めてくれ。」

担任はそういうと2年生の時に夏香達生徒それぞれが決めたモデルコースを書いたプリントを配布した。

 「夏香、どのコースがいい?」
 「私はこのコースがええと思ってる。」
 「同じこと思ってたで!白石は?」
 「俺?…このコースかなって思ってたわ。」

夏香の班でもどのコースを回ろうか話し合いを行っていた。
いくつか候補が出たものの、最終的には夏香や美咲が行きたいと言っていたコースに決定した。

 「…各班コースが決まったようだな。」
 「はーい。」

担任は決まったコースを今度の職員会議で報告をすると言って授業は終わった。
授業後も修学旅行の話でもちきりだったのは言うまでもない。
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