君ヲ想フ春
□第5章 卒業
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2学期に入ると嫌でも受験モードに入っていった。
内部進学希望者がほとんどだが一部の人間は外部の高校を受験予定だからだ。
夏香や美咲は内部進学希望者だが、2学期の成績次第では内部進学の道が絶たれるため気が抜けなかった。
「村田、いよいよ受験モードになったな。」
「ほんまやね、白石。」
「村田は内部進学希望なんか?」
「まあね。そのために中学受験したんやもん。白石は?」
「俺も内部進学希望や。多分、大丈夫だと思うけど、お互い頑張ろうな。」
「うん。希望通りいくように頑張ろうな。」
白石と夏香は昼休みに窓から校庭を見ながら進路の話をしていた。
別に腹の探り合いをしているわけではない。
お互いなんとなく気になっていた進路について話をしていただけだった。
「ねぇ、白石?」
「なんや?」
「この時季になると1年の体育祭を思い出すわ…。」
「俺もや。あの頃の村田はクラスの皆に言われたい放題で苦しそうやったな。」
「あの頃は本当に苦しかった。でも白石が気にかけてくれて助かった。」
「そりゃ、どうも。でも放っておけなかったからな。」
夏香は白石のその発言に驚いていた。
あの頃の彼の行動にちゃんと意味があったなんて考えもしなかったから…。
(修学旅行の時にあんな話になって以来、白石と関わると調子狂うんだよな…。)
修学旅行の日の夜に出た話を思い出すたびに白石のこととなると調子が狂う夏香。
それは白石も同じだったなんてこの時は思いもしなかった。