TRIP×DE×DROP

□逃げる×カ×死ぬか
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一難去ってまた一難




「ひっ?!」


新たな男の出現に、喉が恐怖に引きつって、息をのむ。

振り返って声の主を見たら、さらに。



「っ、!?な?なに?!ピッ、ピエ、ロ??!」



「違うよボクは"奇術師"


ピッ、とその指先に、一枚のトランプ。





「??!〜〜っ、」


ジリ…ジリ…と、男から逃げようと座り込んでいた身体を動かすが、なかなか動けない。






「ん〜♪逃げなくてもいいよ とって食いやしないから(…まだ、ね)」



「?!な、なにか用、で、ですかっ!?」


信じられない!と身構え、どもりながらも気丈に尋ねながら、負けまい!と真っ直ぐに睨みつける。




真っ白な化粧に、目の下には左右、星と涙がペイントしてるこの男。

"奇術師"とか言うけど、ふざけてるのか?

しかもこんなゴミ貯めみたいな場所で!?









「んー…いいねぇ…?キミ…
その真っ直ぐな眼…ゾクゾクするよ…?」


細く目を細め、私を見下す眼。薄くて形のいい唇は口角を上げ、舌なめずりをする。


明らかにイッちゃってる危ない人だ!!











逃げなくちゃ!!!




ダッ!と足に力をいれ、立ち上がりながら身体を捩って逃げ出した!

けど。




「逃がさないよ


ただ、男が手を伸ばしただけなのに、私の身体は何かに縛られたかのように身動きがとれなくなってしまった!!







「はい、捕獲♪」


ヒョイと身体を米俵のように肩に担がれて。




「イヤアアア!!離してぇえーッッ!!!」


足掻こうにも身体は動かず、唯一自由な口を動かした!







「…煩いそれ以上騒ぐと…殺すよ?」



「ひぃっ!?」




一瞬。
男の顔が、ガラリと変わった。
雰囲気も乾いたものに。








私は、もう、諦めて死ぬ覚悟をした。
覚悟なんて出来るわけがないけど。
今の私は非力過ぎて…。



何も出来ない…

逃げられない…

 

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