TRIP×DE×DROP

□終わり×ト×始まり
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私は自分の部屋で眠ってた、…はずだった。






「?ここ、?どこ…??」








鼻が曲がりそうな異臭


身動ぎすれば小さな虫がうわーん!と沢山出て飛び回る。



「うぎゃ!?虫!?キショ!!」




ゴキもカサカサと動き回ってるし、瓦礫の山はよく見れば家庭ゴミみたいだし。





「ここ、"ゴミ捨て場"??」


見渡す限り、ゴミ、ゴミ、ゴミ、ゴミだ。


そこかしこからくすぶって燃えてるのか、煙が上がってる。








「と、とにかく、ここから脱出しないと!」


なんでこんなとこにいるのかなんてわからないけど。

私、今、パジャマ姿だし!恥ずかしいし!
裸足だし!









「そいつぁ無理だなァ?にひひひぃ♪」



「!」


瓦礫の壁の後ろからゾロゾロ現れた浮浪者みたいなボロボロの薄汚れてる男たちが、下品な嗤いを浮かべながら近寄ってきた。




ヤバい!!!なんかヤバい!!!



操の危機を感じて真っ青になる。
ガクガクと震えが止まらない。
膝が笑って力が出ない。

逃げなきゃなのに!!









「久しぶりの女だぜ!なんでこんなトコにいるんだァ?捨てられたかァ?」



「生娘だったら高く売れるぞ!」



「いいじゃん!味見しちまおうぜ!
ツっ込まねぇのは勿体ねえ!」



「ケツと口で我慢しろって!
なぁ?ネェチャン?ニシャシャシャシャ♪」








好き放題に言いながら、近寄ってくる男たちの汚い手が届く寸前。




「イヤア!!」



その手を思いっきり手で叩いて弾いて。
その反動で足を動かし、逃げた!!






「クククッ!ウサギちゃんが逃げ出したぜェ?」



「逃げられねェっつーの!」



「狩りの始まり〜♪ウッヒャア♪」




奇声を上げながら追いかけてくる男たちは余裕で楽しんでる。




だって。


どこに逃げるというの。



どこを見ても、行く先のずっと先まで瓦礫、瓦礫で。


ゴミばかり。












「イヤアアア!!ここはどこぉおお!?出口はああ?!」



もう、がむしゃらに走ってた。
足の裏に、何か刺さり、痛い。
靴も靴下も履いてないのに、まともに走れやしなかった。



ガシッと肩を、腕を強く掴まれ、ガンッ!と痛みと共に引き倒された!!




「キャア!!?痛ァ!!」



「つーかまえた♪ウサギチャ〜ン♪ニヒヒィ♪」



「ヒッ!!イヤ!!イヤ!!イヤァ!!!」


叫んで暴れて。

手足を無我夢中で動かした!





バシン!


男の頬に、どこか当たった。




「っ!テッメェ!!」



途端。男の形相が変わった。





拳を振り上げ、ガツン!と顔に痛みと火がついたような熱さ。

グシャ、と骨がへこんだかと思うほどの。



顔が殴られたのだ。




その瞬間。




ブワアアアア!!と私の身体から煙のような、湯気のようなものがブワッ!と立ち上り放出して。



周りを囲ってた男たちが驚き、舌打ちする。




「障孔開けちまった!」



「チッ!お前、余計なことしやがって!」



「だってよォ、カッと頭に血がのぼっちまったんだって!」


殴った男が私から離れる。




みんな、私を遠巻きに見てる。
観察してる。







「…おい、なんかスゲェ量じゃねぇ?」



「半端ねぇ量だな!確実に垂れ流して死ぬな、こりゃ!」






「…え…え…っ!?な、なんなの?!これッ!?」



私は全然収まらないこの湯気と共に、身体の力がなくなっていくのも感じて真っ青になっていた。








男たちが離れてく。
背中を見せる。




私を置いて。

諦めたみたいだけど。


だけど。






「私…!死ぬ、の…っ??」


ペタンと座り込んだ。

殴られたとこが切れてて、血がダラダラ額や鼻、唇から流れてるけど。


多分、瞼が腫れてきてて、片目の視界が見えにくいけど。

私はそれよりなんとかこれを止めようと、一生懸命踏ん張ったり、力んだり。




…だけど。




「…止まらないぃ…」



絶望に力が抜けて…









すると、少しだけど一瞬、身体から放出する湯気が減って、私の肌に近くなった気がした。





「…?あ、れ?今…」


気がついて急いで考えた!




「そっか!ヘンに力んだりしちゃダメだ!
自然体で!瞑想みたいな!カンジ!」


デコボコな瓦礫の上だから、あちこち痛いけど、座禅を組んで、静かに、心を落ち着けようと。

身体にピッタリ空気の膜を張るようなイメージで…


















「…へぇ 面白いね、キミ





また、声をかけてきたのは、
若い男の声でした。

 

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