TRIP×DE×DROP
□痛み×選択×放置
1ページ/1ページ
薄気味悪い廃墟ビルが続いたゴミ平原から出て一転。
近代的な建物が密集する大きな街に入った。
全くの別世界。
どっちとも。
極端過ぎるよ…と脱力。
肩から降ろされ、「ついておいで」と先を行きだしたヒソカに、一瞬、街なんだから逃げようかと思ったけど、逃げ切れる自信がないから…、離れまいと付いていこうと小走りしたが。
ズキッ!
「痛ッ!」
裸足だったのを思い出す。
うずくまって見れば、足の裏や足首までが汚れて真っ黒で、擦りむいたり、皮が捲れたりして血が流れてる。
パジャマも薄汚れてるし、なんか匂いが…。
ヒソカは振り向かずに歩いて行く。
私の怪我なんて知らんふり。
ゴミの中を歩くよりは全然いいけど。
せっかくなら最後まで担いでくれても…!
……いや、やっぱこんな街中でどっちか取るなら、裸足を取るわ。と思考を止めた。
ペッタン、
「っ!」
ペッタン、
「っ〜!」
痛いのを我慢してヒソカの姿を見失うまいとついて行く。
この時点で律儀にヒソカを追わず、横の路地に逃げればいいとも過ぎったけど。
なんか、助けられた感じも僅かにあるし…。
もしかしたら、だけど。
恩を仇で返すには、なんか出来ない。
汚れて薄いパジャマと怪我した裸足の格好の女の子って…なんか、目立つだろうに、路行く人たちは知らんふりをしてくれてる。
…いや、無関心なのか。
また結構な長い距離を歩いて、1つの立派な建物に入ってくヒソカ。
「あわわ!」
置いていかれる!!
高級ホテルのようだった。
ロビーには品のいい従業員が優雅にお仕事をしている。
「お帰りなさいませ。ヒソカ様」
「ああ、後ろの彼女はボクの連れだから」
「かしこまいりました」
エレベーターのドアの前に立ったヒソカが目に入り、やっと追いついたと思った。
足の裏が結構、痛い。
血が出てるから綺麗な床を汚しちゃう!
「すみません!すみません!」
謝りながらホテルマンの前を通り、ヒソカの斜め後ろに立った。
ひーはーと、息が荒い。
「歩くの遅いね」
「〜っ!怪我してるもん!」
涙目で睨んだ。
「そうなんだ?気がつかなくてごめんね」
心がこもってなーい!!
なに、その目!
ニヤッって!ニヤッってした!!
エレベーターに乗り込み、中でヒソカがカードを差し込んだらドアが閉まり、最上階の数字のランプが点いた。
動き出す。
「?…それって、カードキーなの?
ルームキーだけじゃないんだ?」
壁に寄りかかり、痛みをなんとか軽減しようと努力する。
「そうだよ」
「へぇ…」
最近のホテルって、スゴいハイテクなんだ〜
感心した。
…ふと、エレベーターの機械の操作盤のとこにある変な模様の羅列に気づいた。
「何の記号だろ…」
ただ、ポツリと呟いただけだったのだが。
「もしかして、文字が読めないのかな」
ピキーン!と固まった。
「ちょ!文字くらい読めるわよ…!
もう!当たり前じゃない!
赤ちゃんじゃあるまいし!
誰だって学校行ってるんだから!
なんでそんな意地悪言うかな!」
バカにされた!と思った。
からかわれたと。
軽く受け流せばよかったけど、今の私は足が痛くて理性がピークだった。
「"学校"て、なんだい?」
ヒソカのさらなる追い討ちとなる質問に、ぐわっ!と歯をむいた!
「学校は学校でしょ!
小学校!中学校!高校!
意地悪言うのも大概にして!私足痛いの!」
喚いたら、キョトンとしたヒソカの表情が目に入る。
「…んー…さっぱりわからないな」
チーン♪
最上階の部屋に着きました!