恋する時間

□魔法
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「アリスさぁぁあんっっ!!」
「好きだぁぁぁあーーーー!!!」
「結婚してくれっ」
「愛してるー!」


『ちょっ…!!来ないでぇぇーー!!』


私、今男たちに追いかけられてます。


何これ、モテ期?
…なんて呑気なこと考えてる場合じゃないわ!


そうね…。こうなったいきさつを説明しましょう。





vol.1魔法





今日は、ハートの城で開かれるお茶会の日。



私は、いつものようにハートの城へ向かっていた。




『…なんか、雨降りそう…』

空は雲が覆いつくし、まだ3時前だというのに少し薄暗い。


『途中で降らなきゃいいけど…』

少し歩くスピードを速めた。




――その時。



『…なんかいい匂いがする……?』


それは、森の奥かららしい。

…気になる!


私は、森の中へ駆け出した。


その途端に、後ろから誰かに押された。


『わっ!?』

そのまま、地面へダイブしてしまった。


『ちょっと、誰よ!』


おでこぶつけたじゃない!

怒りをぶつけてやろうと、振り返るが、誰もいない。




『……え、まさか幽霊……』

…はは。ま、まさかね〜……

一気に怖くなった私は、立ち上がろうとした。



でも、身体が言うことを聞かない。


さっきの甘い匂いも、強くなってきていた。


ヤバい…!
これ、罠だったんだ……。



そう思ったが、時すでに遅し。

そのまま気を失ってしまった。



















『…ん』


「おや、お目覚めですか?」


目を開けると、見知らぬ天井。

知らない声。



…そうだ。私、誰かに罠にはめられて……



『あなたね!私を罠にはめたの!』

「クフフ…。そう怒らないでくれますか」


『怒らない方が無理よ!何のつもり!?』


目の前の男は、愉快そうに口端を上げた。


なんなの、こいつ……。
気味が悪い……!!




「僕は、六道骸。魔法使いです」

『…は?』


「今日君をここに連れて来たのは、僕が新しく開発した魔法の実験台になってもらいたいのです」


『実験台…?』


「変なことはしませんよ」


『あなたバカ?実験台になれって言われて、変なことはしないって言われたって信用できるワケないじゃない!』


「クフフ。ずいぶん威勢のいいお嬢さんですね」



……どうしよう。
なんか変態っぽい……。



「おや、心外ですね。僕は変態ではありませんよ」

今、私の心読んだ……?

『……変態にしか見えないわね』


そう言っても、男は笑みを崩さない。

ほんと、何考えてるんだか全然わからない!



「ところで、僕の実験台になってくれますよね?


『誰がなるものですか!帰るわ』


バカバカしいったらありゃしないわ。

とっととこんなところ出ていってしまおう。




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