恋する時間

□状況
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どうしよう…!

あれから、私は追ってくる男たちから逃げるために走りまわった。

でも、いっこうに距離は縮まらず、逃げ切るなんて無理だった。



な、なにあいつらっ……!!
スピード全然落ちてないじゃん!



とりあえず、ハートの城に向かえばなんとかなるはずだと思い、とにかく城を目指した。




vol.2状況



『…あっ…!!』


すると、数百メートル先にハートの城のひとつの象徴ともいえる大きな門が見えた。


門には、たしか門番のマーモンがいるはず!

マーモンは、いつもお茶会の時は私が来るまで待っててくれるもの。


『マーモン!!!』

大声で名前を呼ぶと、


「アリス、やっと来たんだね」


やっぱり、マーモン待っててくれたんだ…っ!


嬉しくてマーモンに抱きついた。

『マーモン!会いたかったーっ』


「…なんだい、あの男たちは。まさか連れて来たんじゃないだろうね」


『…そ、それは……』


ていうか、抱きついたことはスルーなの!?


だいたい、この国の男たちはみんな私を好きになるんだから、マーモンだって例外じゃないはず……。


…ん?待って…。

マーモンって、男なのか女なのかわからないじゃない!!


「…アリス、聞いているのかい?」

『へ?』

「だから、あの男たちは一体何なんだい?」

『…えっとー、話すと長くなるから、詳しくは後ほど。とりあえず、私今追われてるの!助けて!』

「報酬ははずむんだろうね?」

『…え』


「本来の仕事じゃないのを引き受けるのだから、報酬はあって当然だろう?」


『そ、そうね…。でも、ここは長年の付き合いってことでチャラに…』

「金にならない仕事はしないよ」

『………わかりました。助けてください…』


マーモンは、門を開けて私をお城の中へ入れてくれた。


振り返ると、男たちが喚いている。

でも、マーモンの術にかかったのか、一斉に逃げだし、辺りは静かになった。


マーモンは門を施錠し、


「…一体何が起こったのさ」

と聞いてきた。


『あのね、信じてもらえないかもしれないけど、私―、』


ガッシャァァァアーーーン!!!


ガラスの割れる音と、叫び声が城の中から聞こえてきた。



『…マーモン、今何時かしら?』

「3時28分だよ。きっと今のは王だね。きっとアリスが遅れてるからカンカンさ」


『は、早く行きましょうっ!』


すっかり時間を忘れてたっ!!


どうしよう…。
殺気がこっちにまで伝わってくるくらいだ……。

私は血の気が引いていくのを感じた。





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